VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1688 『塊オンザスウィング』(三宅優・矢野義人/みんな大好き塊魂/PS2)

www.youtube.com

ナムコがおくるロマンチックアクション・塊魂より、

三宅優・矢野義人作詞作曲、三宅優編曲、松崎しげる歌唱、

みんな大好きの『塊オンザスウィング』。オープニングとラストステージで流れます。

あらゆるモノを巻き込んで転がして大きくするコンセプトが味わい深い塊魂シリーズの2作目にあたる本作。前作の騒動で結果的にみんなの人気者になった大コスモの王様は、塊を求めるファンたちの要望に応えるため再び王子を送り出すことになる。肝となる遊びや世界観は前作と同じで、3D空間でモノを転がして塊をつくってひたすら大きくしていくシンプルでロマンあふれるゲーム性を特徴とする。ステージ構成や各種ステキソング(アーティストとのコラボによるゲーム内ボーカル曲)が一新されたほか、2P協力・対戦プレイへの対応、クリア条件の充実、操作キャラの追加、いそいで大きくするタイムアタックルールの導入、塊の操作性の向上など、種々様々な調整が施されている。総じて引き続きコンセプトの単純明快な面白さが光る仕上がりとなっている。後に追加要素を加えてスイッチ、PS4、PS5、Xbox One、X|S、PCにリマスターされた。

本作の音楽を担当するのは大久保博氏、金子智充氏、境亜寿香氏、杉山将司氏、田島勝朗氏、遠山明孝氏、戸部田英樹氏、三角由里氏、三宅優氏、矢野義人氏。音楽制作会社ナウプロダクション所属の杉山氏を除き、いずれもナムコ社内メンバーである。加えてゲストアーティストとして10組11名を起用している。前作から続投の松崎しげる氏をはじめ、新たにヒューマンビートボクサーのDOKAKA氏、元FAIRCHILDのボーカルのYOU氏、マルチタレントの有紗氏、ラッパーのイルリメ氏、シンガーソングライターのカヒミ・カリィ氏、ポップバンドのキリンジ堀込泰行氏と高樹氏から成る)、演歌歌手の新沼謙治氏、ボーカリスト兼ファッションリーダーの野宮真貴氏、俳優の宮崎吐夢氏が参加している。奇抜で愉快な音楽性を踏襲しつつ、本作ではハウスやジャズ系のゆとりのある曲調を中心にそつなくまとめられていて、ジャンルが良い意味でバラバラだった前作と比べてより固まった統一感のあるサウンドを楽しめる。サウンドトラックはボーカル曲メインで隠しトラック込みで収録されたものがあるが、ゲーム内BGMはほとんど未収録である。

オープニングムービーとラストステージで流れるのがこの曲である。オープニングではサイケデリックな映像と不思議なダンスが映えるショートバージョンが流れる。いきなり超ハイテンションで叫ぶ松崎しげる氏のパワフルな声が象徴的で、続けてラッパが朗々と響き渡って痛快なムードを形作る。伸び伸びと合奏する楽器群と裏拍のリズムの組み合わせがよく嵌まっていて、28秒から再びボーカルが参戦してコーラスも追随すると本格的なスウィングジャズらしさを帯びていく。歌声には情熱的な濃さがあるが、歌いぶりは軽やかでこざっぱりとしていて、楽器との相乗効果でスカッとする気持ち良さを感じさせる。1分前後でピアノが音階を転がり落ちるような洒落たフレーズを添えたり、1分17秒から徐々に再びラッパが目立ち始めてノリをぐんぐん蓄えたりして、スタイリッシュかつダイナミックな展開をみせてくれる。サビではコーラス、ピアノ、ラッパ、ベース、パーカッション、そしてボーカル、みんなそれぞれの持ち味を活かしてなんとも楽しげなアンサンブルを生み出す。その後、2分16秒以降のパーカッションソロ、2分52秒以降のピアノパートなど小粋な間奏を挟んでやがて再び歌声が入る。歌詞を変えながらしばらくしてサビに辿り着くと、4分21秒にはストレートに「やっぱりアイラブユー」と愛を伝えて、最後には前作エンディングテーマ『愛のカタマリー』でもおなじみの「日に焼けた肌」という句で締め括る。思わず快哉を叫びたくなる一曲である。

この曲を紹介してほしいというリクエストをいただきました。塊魂TRIBUTEにスキマスイッチ大橋卓弥さんが歌うリミックス版『塊オンザウィングス』がありますが、ゆったり素敵なカバーですね。あわせてどうぞ。

www.youtube.com