中鶴潤一作曲、あっぱれ三代目の『スポーツダイジェストン ~Fill In The Sky~』。
隠し収録曲の一つ。
音楽に合わせて太鼓をリズムよく叩く太鼓の達人シリーズのうち、コンシューマー向けのナンバリング3作目にあたる本作。ソフト単体での販売に加え、専用の太鼓型コントローラ・タタコンが同梱されたバージョンが存在する。基本的なルールやゲーム性はいつも通りで、2曲連続でクリアを目指すアーケードモード、任意の曲で遊べるフリーモード、指定された曲を限られた魂ゲージ内で完走するサバイバルモード、おまけのミニゲームモードが収録されている。ミニゲームは前作は3種類だったが、本作ではすべて一新して4種類に増えている。具体的には旗あげ、もぐら叩き、手本に従って叩き方を覚えて再現するまねるドン、連打したり火を吹いたりしてライバルと競うカレー早食いがあり、タタコンを活用した直感的な遊びを楽しめる。タタコンの操作感やレスポンスは大味だが、筐体で遊ぶ感覚を家庭でも疑似的にカジュアルに再現することができる。総じて前作までと大きく変わらないがややボリュームアップした仕上がりとなっている。
本作ではデフォルト34曲、隠し5曲の計39曲が収録されていて、前々作の30曲、前作の34曲から順当に曲数が増加している。うちJ-POPやアニメ、クラシックなどの版権・定番系が25曲、ナムコオリジナル(ゲームからの流用やメドレー含む)が14曲という内訳である。オリジナル曲の作曲体制に関しては、当時ナムコに所属していた三角由里氏、椎名豪氏、柿埜嘉奈子氏のほか、現在もバンダイナムコに所属している中鶴潤一氏、増渕裕二氏、LindaAI-CUE(石川哲彦)氏が参戦している。ボーカル入りやボイスサンプリングを用いた一風変わった楽曲が取り揃えられていて、シリーズ全体でも知名度が高く派生アレンジも多いLindaAI-CUE氏の『さいたま2000』が本作初出である点も特筆に値する。サウンドトラックは本作向けのものはないが、基本的に後年に登場したサントラ2008盤に本作のオリジナル曲が含まれる。
隠し収録曲の一つで、〈フュージョン〉というジャンルで収録されているのがこの曲である。ジャンル名が示す通り非常にオーソドックスな80年代風のジャパニーズフュージョンで、出だしから明朗に響くシンセとベースがなんとも清々しい。23秒過ぎからサックスの調べが加わると、とてもダンディーでポジティブな印象を与える。39秒からサックスに加え伴奏も一丸となって勢いづくことで気持ち良さに拍車がかかる。54秒でサビに突入する際にはサックスのお供に巧みなベースや華やかなオーケストラヒットを添えて清涼感たっぷりに盛り上げる。一旦サビが終わったあとも曲は続き、1分26秒にはキーボードをフィーチャーして洒落た間奏を披露する。2分前後で再びサビに入ると、間奏を経たことで前よりも心なしかエネルギッシュになり、いっそう清々しく駆け抜けていく。サビが終わる2分23秒からサックスの最後の見せ場があり、やがて鮮やかに収束する。譜面に関しては隠し解禁ということもあって、曲の尺が比較的長いなかで、あえて密度を低めに付点を絡めてリズムを取りにくくしている点が特徴的である。心躍ると同時に心休まるような賑やかな安らぎがある一曲である。
こういう曲調なので公式生放送のオープニングテーマにも採用されていますね。せっかくなので記事のなかで触れた『さいたま2000』もどうぞ。