角川書店のゲーム雑誌「マル勝スーパーファミコン」のマスコットキャラを題材とする、
スティングがおくるアクション・妖怪バスター ルカの大冒険より、
田中光人作曲、『STAGE 5』(仮称)。5面で流れます。
上記動画の10:40から12:23まで。
角川書店が90年代前半に刊行していたゲーム雑誌「マル勝スーパーファミコン」の看板娘であるルカを主役にした本作。時は未来、都市開発で祠や塚が取り壊された結果、邪悪な妖怪が蔓延るようになった世界を舞台に、勝気な妖怪バスターの少女・ルカは一目惚れした妖怪の首領を追って冒険することになる。海外でのみ発売されたThe Jetsons: Invasion of the Planet Pirates(宇宙家族ジェットソン)というカートゥーンアニメのゲーム化作品を、国内向けにキャラを差し替えて移植したものである。全7面構成の横スクロールアクションで、物を吸い込んだり壁にくっついたりできるエンマ様の首を駆使しながら進めていく。基本的には移植元とステージ構成やアクションは共通しているようだが、カラフルでシュールなキャラ造形やコミカルなビジュアルシーンなど、世界観に合わせて調整されている。本編のほかに、バイクで駆け抜けて高得点を目指す付録ゲームが収録されていて、シンプルだが癖になるやり込み要素を楽しめる。総じてうまく差し替え移植されて手堅くまとまった仕上がりとなっている。
本作の音楽を担当するのは田中光人氏。当時スティングに所属していた作曲家である。移植元でもサウンドドライバおよび効果音の制作を担っていた(作曲は高萩英樹氏によるもの)。本作ではサウンドドライバはもちろん作曲も単独で手がけている。魑魅魍魎が跋扈するポストアポカリプス系の舞台設定とはいえ、全体的な作風はお茶目で剽軽な印象が強く、楽曲もそうしたノリを反映している。リズミカルでエネルギッシュなものを中心に、ラッパやマリンバ、アゴゴベル、ときには和楽器などを用いて、ゆったりボサノヴァ風から疾走感のあるエレクトロニック風まで各種取り揃えている。サウンドトラックは未発売のため、曲名は便宜上の仮称とする。
5面で流れるのがこの曲である。ダルマを使った謎解きや回る鉄球などの仕掛けがある屋内の城のようなステージである。そろそろ終盤に差し掛かることを受けて、この曲は出だしから勢いよくリズムを刻んでシリアスで昂揚感あふれる雰囲気を醸し出す。イントロ明けの14秒(上記動画の10:54)から奏でられるメロディーは勇ましいが、すこしビターな響きを帯びていて、適度な使命感とプレッシャーを感じさせる。一連のフレーズが終わって41秒(11:21)あたりから間奏が始まると、今まで以上にタイトでテクニカルなベースとビートを披露し、次のループに向けて曲の流れを整える。聴いていると気合が入る一曲である。
間奏がたまらない格好良さですね。すごく巧みです。