VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1343 『Scene 1』(Eric Swanson/Captain America and the Avengers/SNES)

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Marvel Comicsのスーパーヒーローたちをモチーフとする、

Mindscapeがおくるアクション・Captain America and the Avengersより、

木内達也・佐藤共良作曲、Eric Swanson編曲、『Scene 1』(仮称)。1面で流れます。

Marvel Comicsを代表するスーパーヒーロー・Captain Americaを筆頭とするAvengersのメンバーたちの活躍を描くアクションゲームとして、1991年にデータイーストがアーケード向けに稼働させた同名の作品の海外スーファミ移植版にあたる本作。ヴィランたちを結集させて世界征服を企む悪の首領・Red Skullの野望を阻止すべく、ヒーローたちが立ち上がることになる。アーケード版同様、全5面構成のベルトスクロールアクションで、CapのほかにIron Man、Hawkeye、Vision、計4人の性能の異なるヒーローがプレイアブルである。グラフィックに関しては、特に背景まわりはアーケード版ほどの質感や芸の細かさはないが、コンシューマー水準の見た目に調整されている。基本的な仕様やアクションは大きく変わらないが、最大4人まで同時プレイ可能だったアーケード版とは異なり、本作では2人同時に絞られている。また、操作感はやや鈍く間延びしたようなところがあり、それにつられて攻略難易度が変動している。総じて多少縮小されつつもアメコミのノリと雰囲気を味わえる仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのはEric Swanson氏。当時、本作の開発元であるRealtime Associatesに所属していたアメリカ出身の作曲家である。アーケード版の作曲はデータイーストの木内達也氏と佐藤共良氏が手がけていて、本作の音楽はアーケード版原曲をスーファミ音源に置き換えたアレンジで構成される。Swanson氏は本作に加え、ゲームギア版とゲームボーイ版の移植に際しても音楽を担当している。音源の違いによる表現力の差はみとめられるものの、メロディアスで疾走感のある原曲のエッセンスを受け継いだ小気味良いサウンドが揃っている。サウンドトラックは未発売のため、曲名は便宜上の仮称とする。

1面で流れるのがこの曲である。ここでは、ダウンタウンを抜けて海岸沿いを進むことになる。第一音から分厚く鳴るシンバルの打音で勢い十分なスタートを切ると、続いて丸みを帯びたラッパのような音色と、低音でグルーヴィーに刻むベースの音色が活き活きと響き渡る。しばらくは軽快で勇壮な調子で駆け抜けていくが、23秒頃からゴーッと効果音が入ると、それを皮切りに不穏な印象がちらつくようになる。24~38秒では、ストリングスが同じ音程を短く区切って粘り強く発音することで、サスペンスシーンを彷彿させるような怪しげで侮りがたい雰囲気を漂わせる。アーケード版原曲と比べて曲全体の派手さや力強さは薄まった分、この怪しさに関してはSNES版特有の味わいを生み出している。一つの曲のなかで前半はヒーロー側、後半はヴィラン側に焦点を当てているかのようである。独特な潔さときな臭さが感じられる一曲である。

この曲を紹介してほしいというリクエストをいただきました。AC版原曲は勇ましさ重視な感触で、GENESIS版(サウンド担当は佐藤さん、酒井省吾さん、崎元仁さん)はギラギラした迫力重視なので、機種ごとに独自色が出てますね。聴き比べてみてください。

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