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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1480 『タイトル』(岩田匡治/レリクス 暗黒要塞/FCD)

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ボーステックがおくるアクションアドベンチャーレリクスより、

岩田匡治作曲、FCD版の『タイトル』(仮称)。タイトル画面で流れます。

斬新な作風で知られるPC98向けのアクションアドベンチャー・RELICSの移植作品のうち、ファミコンディスクシステム用に登場した本作。数多の星を滅ぼしてきた闇の支配者・ヘルが地球を制服し、堅固な暗黒要塞を築いて輝きの王女を幽閉したことを受け、勇者の魂が要塞攻略に挑むことになる。物語の大筋やコンセプトはPC98版原作と共通しているが、家庭用機に移植するにあたって全体的な遊び心地や仕様が調整されている。肝となる憑依システムは健在で、主人公は魂であることから倒した敵に乗り移ることができる。これによって剣や魔法、ライフルなど、6種類の肉体ごとに異なる特技を得られる。本作向けの新要素として、セーブ機能が追加された点、プレイ中にBGMが付くようになった点、原作の言葉少なで謎多き物語に対するフォローが加えられた点が挙げられる。一部の利便性が向上した反面、とにかく頻繁に挟まれるロードとディスク入れ替えは忍耐を要する。また、防御は十字ボタンの後方入力、方向転換の際は一度背を向けてから向き直す必要があるなど、操作体系は少々独特なきらいがある。根気を試される分、独自のダークでミステリアスな世界観を味わえる仕上がりとなっている。後にロード問題を解消したうえでプロジェクトEGG経由で配信されたほか、移植作品をまとめたRELICS ANTHOLOGYのなかに本作が収録された。

本作の音楽を担当するのは岩田匡治氏。当時ボーステックに所属していた作曲家である。氏は80年代中盤からゲーム音楽に携わっているベテランだが、本作は長年のキャリアのなかでも最初期の担当作品であり、全編単独で作曲を手がけたという観点では実質的なデビュー作と言える。PC98版原作および各機種移植版ではオープニングとエンディングのみにBGM(ロックバンドのクリスタルキングによる作曲)が付く仕様だったが、本作では一新されてプレイ中でも曲が流れるようになった。ポップス寄りのノリとペーソスがあった原作の音楽と比べて、本作はより暗澹とした曲調で作中の世界に溶け込むようなものが用意されている。サウンドトラックは未発売のため、曲名は便宜上の仮称とする。

タイトル画面で流れるのがこの曲である。伸びとキレのある中音域のイントロで始まり、6秒頃でドラムが顕著に刻み出すと徐々に曲全体が勢いを帯びていく。13~15秒で高らかに舞うような音階が奏でられるのを皮切りに、やがてベースを伴いながらメインメロディーが始動する。その旋律は勇ましいようでアンニュイでもあり、耳で追いやすいリズム感とテンポ感を保ちながら進んでいく。主旋律の裏で42秒から再び高らかに舞うようなアルペジオが入ると、いっそう耳馴染みしやすくメロディーラインの美しさが映えるようになる。1分7秒からアルペジオが抜けて聴き覚えのあるフレーズに戻り、再度同じ流れを繰り返した後、2分手前でアウトロに向けて音数を絞って収束していく。曲終盤の2分5~11秒には高音のハーモニーを紡いで一種独特な悲壮感を醸し、続けて流麗なアルペジオを披露すると、最後は簡潔に締める。凛々しくも翳のある一曲である。

良い意味で心に突っかかるというか、いったいどんな冒険が待ち受けるのかと期待と不安を掻き立ててくれる感じがしますね。ちなみに近々サントラ出る予定があるみたいなので、時が来たらまた記事を加筆します。