カプコンがおくるスポーツゲーム・カプコンスポーツクラブより、
奥河英樹作曲、『奴等は違う』。バスケのエクストラステージで流れます。
一つの筐体で複数の競技を遊べるアーケード向けのスポーツゲームとして登場した本作。開始時にバスケのDUNK、テニスのSMASH、サッカーのKICKのいずれかのルールを選択し、好きな国を選んでトーナメント形式で世界大会の優勝を目指すことになる。バスケは3on3、テニスはシングルス、サッカーは5on5(実質フットサル)で繰り広げられ、選ぶ国によって選手の能力、団体競技ならポジションやフォーメーションなどに差がある。操作は移動用の8方向レバーに各競技で用いる3ボタンから成り、シンプルながらキビキビとキレのあるアクションを楽しむことができる。スポーツゲームとしての手触りはもちろん、細かな演出や観客の反応なども魅力的で、慣れれば爽快な遊び心地がある。一方でどの競技でもCPUが相応に手ごわく、雰囲気はカジュアルで楽しげだが割と本格仕様なつくりである。総じて丁寧でやり応えのある仕上がりとなっている。後にカプコンアーケード2ndスタジアム内の収録タイトルとしてスイッチ、PS4、Xbox One、PCに移植された。
本作の音楽を担当するのは奥河英樹氏。カプコンに所属する作曲家である。ストリートファイターシリーズなどカプコンのアーケード作品によく携わっていることで知られる。本作の音楽は陽気で晴れやかな雰囲気をベースにしつつ、競技ごとにジャンルを変えてバラエティ豊かなサウンドを生み出している。具体的にはバスケはレゲエやディスコ、テニスはボサノバ、サッカーはサンバといった具合に音楽性が充実している。各競技には初戦からエクストラステージまで4曲用意されていて、曲数の面での充実ぶりも味わえる。サウンドトラックについては同時期に展開していたポケットファイターとセットで本作の楽曲が収録されている。
バスケのエクストラステージで流れるのがこの曲である。エクストラステージとは決勝戦後に所定の条件を満たしていると乱入してくる最強のチーム・GOLDEN USAとの試合を指す。そうした一筋縄ではいかない状況を軽快でダンサブルで挑戦的なムードの漂う曲調で活き活きと彩ってくれる。歯切れの良いピアノやハンドクラップと、しっかり響いてがっしり支えるパーカッションの組み合わせによって、適度に気が引き締まるようなノリとテンションを感じさせる。18秒からはうねるベースや高音のシンセが加わってさらに曲全体に厚みと奥行きを持たせるが、33秒以降でピアノが抜けると一時的に厚みが減って独自のスリルを生む。何度かフレーズを繰り返すとやがてイントロに回帰し、49秒あたりでループに入る。小気味良さのなかに油断ならないしたたかさがある一曲である。
変わった曲名ですけど結構ありのまま言い表したような感じで良いですね。