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#056 『燃えるハロウィンタウン』(並木学/デススマイルズ/AC)

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ケイブがおくる横スクロールシューティング・デススマイルズより、

並木学作曲、『燃えるハロウィンタウン』。港町のステージで流れます。

ケイブ作品ではやや珍しい横スクロールシューティングとして登場した本作。神隠しの噂が広がる世界を舞台に、突如謎の光に包まれて異世界・ジルハラードへと誘われた少女たちは、異能を開花させ、迫りくる魔物たちを倒すことになる。ゴシックホラーの世界観を基調に、自機はすべて女の子となっていて、通常のショットに加え、使い魔(サブウェポン)や召喚魔法(ボム)などを駆使して攻略していく。ステージは昼と夜に分かれていて、さながら劇のような章立てで進行していくほか、難易度は三段階でステージごとに調整でき、比較的遊びやすい仕上がりとなっている。後にアップグレード版のメガブラックレーベルが登場し、Xbox360スマホ、PCにも移植された。

本作の音楽を担当するのは並木学氏。当時、音楽制作会社ベイシスケイプに所属していた作曲家で、ケイブ作品では怒首領蜂シリーズや虫姫さまシリーズなどでもおなじみである。本作の楽曲は、氏の得意とするところのシンセサイザーを活用したテクノ系のジャンルに、さらにゴシック要素を加え、どこかダウナー感漂うクラシック調の曲調に仕上がっている。また、なかには実際にクラシックのアレンジも用いていて、20世紀初頭のヨーロッパを彷彿とさせるジルハラードの雰囲気づくりを徹底している。サウンドトラックはオリジナル版のほか、スマホ版の新曲を収録したものや複数の作曲家によるアレンジアルバムなども存在する。

本作序盤のステージである港町は、ハロウィンの時期の夕刻に魔物に襲撃された町が舞台である。そこで流れるこの曲は、開始早々からストリングスとコーラス、不気味に響く男声でムードを盛り上げる。濃密なエレキギターと荘厳なチャーチオルガンを組み合わせることで、ゴシックならではの重厚感を生み出す。重厚でありながらも、全体的なノリやテンポ感はむしろ疾走感に満ちていて、特に40秒頃からのサビは非常にパワフルでエネルギッシュな響きを帯びている。迫りくる敵を一掃する爽快感と、少女たちの悲壮な使命を強く印象付けるような一曲である。

アレンジアルバムでは伊藤賢治さんが編曲したものがあって、そちらもよろしければどうぞ。

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