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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#309 『終末の谷』(坂本昌一郎・安井洋介・矢野雅士/NARUTO -ナルト- 激闘忍者大戦!4/GC)

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岸本斉史著の忍者バトル漫画「NARUTO」を原作とする、

エイティングがおくる3D対戦格闘ゲーム・ナルト激闘忍者大戦より、

坂本昌一郎・安井洋介・矢野雅士作曲、4の『終末の谷』。

同名のステージで流れます。

少年漫画「NARUTO」のゲーム化作品群・激闘忍者対戦シリーズのうち、4作目にしてゲームキューブ最後の作品にあたる本作。原作の綱手探索編からサスケ奪還編あたりまでをベースにしたストーリーモードを軸に、主人公のうずまきナルトらの激闘を追体験することになる。GC最終作ということでそれまでシリーズに登場したステージがすべて収録されているほか、音の四人衆をはじめとする新キャラが多数追加されている。また、3人1組で戦うスリーマンセルの合体奥義が、キャラの組み合わせによって変化するようになり、従来通りのシンプル操作で今まで以上に派手な戦い方を楽しむことができる。対戦バランスもそこそこ良好で、集大成にふさわしい仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは坂本昌一郎氏、安井洋介氏、矢野雅士氏。いずれも当時、音楽制作会社スーパースィープに所属していた作曲家たちで、このうち安井氏はシリーズ1作目から携わっている。矢野氏は2以降、坂本氏は本作が初の参加で、1から3まで作曲を手がけてきた細江慎治氏と佐宗綾子氏に関しては本作には不参加である。忍者と格ゲーという組み合わせから連想される通り、シリーズの楽曲は和ロックが大半を占めていて、過去作のBGMが多数収録されているなか、本作オリジナルの楽曲は相変わらず力作揃いである。サウンドトラックは未発売だが、ゲーム中にサウンドテストが存在する。

終末の谷とは、最強と謳われた二人の忍者の壮絶な攻防の末に、大地が抉れてできた断崖絶壁の地形である。そこでの戦闘で流れるこの曲は、雅な和楽器と武骨なエレキギターが融合して奏でられる、荒々しくも風流な魅力に満ちた曲調が印象的である。イントロが明けると伴奏から主旋律へと転じるストリングスの音色は、小刻みに響くドラムとあわせて非常に疾走感のあるメロディーを紡ぐ。40秒過ぎで尺八が加わると、その渋い音色が闘争心を掻き立ててくれる。1分頃にはしばらく息を潜めていた弦が再び勢いづき、激戦の地にふさわしい爽快かつ情熱的な雰囲気を生み出す。和風というイメージに沿いつつ、少年漫画らしい直球の格好良さに満ちた一曲である。

激闘忍者大戦はどれも曲が良いですが、個人的にはこれがイチ押しです。それぞれの楽器が加わるタイミングが抜群に冴えていて、思わず武者震いがしそうです。