VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1358 『Hunting Time』(長沢ヒロ/DEAD OR ALIVE 3/Xbox)

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テクモがおくる3D対戦格闘・デッドオアアライブより、

長沢ヒロ作曲、3の『Hunting Time』。ハヤブサのエンディングで流れます。

テクモを代表する対戦格闘ゲームであるDEAD OR ALIVEシリーズのナンバリング3作目にあたる本作。格闘大会・デッドオアアライブを主催するDOATECの人体実験により殺戮の超人と化した覇神門忍者の長・幻羅をめぐり、それぞれ思いを抱える参加者たちが第三回の大会に挑むことになる。これまでアーケード先行で展開してきたシリーズだが、本作以降は家庭用機メインの体制に移った。プレイアブルキャラは新規4人を加えた16人(+隠し1人)で、モデルの美麗さや動きの滑らかさはもちろん、恒例のコスチューム着せ替え要素もある程度備えられている。ステージは木の葉舞う森からネオンに囲われた高層ビルまで映像美にこだわったものが揃っていて、ハード性能に見合った迫力を味わうことができる。対戦面では従来通り打撃・投げ・ホールドの3すくみの関係性を維持しつつ、ホールド技の内訳はパンチとキックの区別をなくした上・中・下段へと簡略化されたほか、決定打となるほどの効果はないもののガードを崩して相手をよろけさせる技が導入された。フリーステップ含むコマンド全般の入力簡易化に加え、ストーリーモードや対戦モードなどと並んでトレーニング専用のモードも搭載されている。順当に小綺麗にまとまった仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは稲森崇史氏、小池令氏、周防義和氏、長沢ヒロ氏、細井誠氏、三井誠氏。主題歌には既存楽曲の提供という形でアメリカのロックバンド・Aerosmithを起用している。稲森氏と小池氏は当時テクモに、細井氏は現在も吸収合併を経てコーエーテクモに所属する作曲家である。周防氏は映画やドラマの劇伴作曲などで知られる作曲家で、長沢氏と三井氏はそれぞれアーティストへの楽曲提供などを中心に手がけている。細井氏以外はシリーズの作曲には初参戦のようで、なかでも稲森氏、小池氏、長沢氏は次作でも携わることになる。激しいロック系テクノ系のものから、和のテイストを感じさせるもの、一部ボーカルを取り入れたものまで、昂揚感をそそるセンスのある楽曲が取り揃えられている。サウンドトラックは2枚組で収録されている。

ハヤブサのエンディングで流れるのがこの曲である。リュウ・ハヤブサ忍者龍剣伝/NINJA GAIDENシリーズの主人公にして本シリーズにも出演している超忍である。エンディングムービーは一人で静かに渓流釣りしているところに矢文が飛んでくるという意味深なもので、映像の内容と尺に合わせて曲が奏でられる。しっとりとした響きを帯びたケルティックハープのイントロで始まり、映像でハヤブサの姿が映し出される8秒頃からフィドルが加わって華やかな演奏を披露する。非常に民族音楽然とした曲調で、21秒から風を切るような笛の音が入るとますますその印象が強まる。30秒手前でふと音が途切れるとき、映像では焼き魚を持った彼が何かを察知する様子が描かれ、以降しばらく不吉で謎めいた間が続く。再びフィドルが始動する40秒あたりで矢が彼めがけて飛んできて、冒頭と比べて明らかに切迫感が増した調子で、ドラムを重めに響かせてスリリングに盛り上げる。一連のアクションシーンを終えて矢をキャッチすると、50秒頃に緊張をほぐすようにシンセを鳴らし、最後はハープとフィドルの甘美な合奏で締める。緩急と余韻を兼ね備えた一曲である。

ケルト音楽のいいとこどりと言ったらよいのか、静と動の対比が非常にまとまりよく表現されてますね。エンディングムービーもどうぞ。

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