テクモがおくるアクションアドベンチャー・NINJA GAIDENより、
小池令作曲、『Alma Awakened』。覚醒アルマ戦で流れます。
テクモの骨太忍者アクション・忍者龍剣伝シリーズを3D化してXbox用の新機軸の作品として蘇らせた本作。隼一門の忍者で龍の血を受け継ぐリュウ・ハヤブサは、隼の里を神聖ヴィゴル帝国に襲撃され、同胞の命と里に伝わる魔刀・黒龍丸を奪われたことをきっかけに帝国に乗り込むことになる。チャプター形式で進めるアクションアドベンチャーで、同じくテクモ製のDOA譲りの格ゲー的なゲーム性を取り入れた多彩な忍者アクションが特徴である。操作次第で超人的な動きが可能となる一方で、難易度は押しなべて高く、やるかやられるかの駆け引きを迫られる。アドベンチャー面ではフィールド上での謎解き要素や各地に散らばる黄金のスカラベといった収集要素もある。非常に滑らかで美麗なグラフィックと相まって、シビアだからこそ遊び甲斐のある仕上がりとなっている。後にリニューアル版のBlack、リメイク版のΣおよびΣ PLUS、シリーズ三部作をHDリマスターしたMaster Collectionが登場した。
本作の音楽を担当するのは小池令氏、原和加奈氏、細井誠氏。小池氏と原氏は当時テクモに、細井氏は現在も(吸収合併を経て)コーエーテクモに所属する作曲家である。細井氏と小池氏は本作以前にDOAでの作曲経験があるが、原氏は当時新人で本作が初の担当作品である。NINJA GAIDENシリーズの作曲には原氏は本作のみ、細井氏は2まで、小池氏は3まで携わっている。本作は忍者モノではあるが、神聖帝国や近未来的な飛行船などの存在により和風というには程遠い世界観であるため、無国籍な劇伴風の楽曲群を中心に、ときにテクノ、ときにインダストリアルといったジャンル横断的な音楽が揃っている。サウンドトラックはボーナストラックも含めて2枚組で収録されている。
戦前のカットシーン含め、覚醒アルマとの戦闘で流れるのがこの曲である。神聖帝国の重鬼卿(高位の魔神)で、一度戦ったことのある相手だが、贄を得ることで強化された作中屈指の難敵である。蟲と女体と悪魔が合体したような恐ろしい外見で無慈悲な攻撃を仕掛けてくるボス戦を、イントロから切羽詰まったクワイアで威圧感たっぷりに彩る。10秒過ぎからエレキギターが小刻みなベースラインを奏でることで、元々焦燥感のある曲調がさらに熾烈さを増す。30秒手前で、それまでクワイア主体だったのがエレキギター主体へと移り変わることで、より激しく死闘を繰り広げる感覚が前面に押し出される。1分頃には伴奏にシンセストリングスが加わり、いっそう勢いに歯止めがかからなくなる。絶望的な戦慄を感じさせる一曲である。
音の隅々に暴力と恐怖が染みついているような、それでいて神秘的でもあるのがとても秀逸ですね。一戦目の『Forsaken Humanity』(同じく作曲は小池さん)もすごくバイオレントで格好良いです。あわせてどうぞ。