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#1066 『深閃之巻』(崎元仁/蒼穹紅蓮隊/AC)

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ライジングがおくるシューティング・蒼穹紅蓮隊より、

崎元仁作曲、『深閃之巻』。2面のボス戦で流れます。

バトルガレッガで知られるライジングのアーケード用縦スクロールシューティングとして登場した本作。宇宙開発による競争が激化する近未来を舞台に、世界有数の巨大企業・尽星グループの私設自衛部隊、通称蒼穹紅蓮隊は、競合他社やテロ組織との相次ぐ衝突に立ち向かうことになる。全6面構成で残機制、N.A.L.S.(全方位照準固定システム)と呼ばれる独自のロックオン機能が特徴で、ショットボタン長押しでワイヤーフレーム状のウェブを展開することで、捕捉範囲内の敵を一網打尽にする誘導弾を放つことができる。グラフィックは基本的に2Dだが、高低差の概念があるため3D的な要素も含むハイブリッドさが印象的である。また、世界観へのこだわりが徹底されていて、画面いっぱいに文字が映し出される大仰なステージ演出を筆頭に、これでもかというほどディープなハードSFの作風を貫いている。総じて濃密かつ戦略性のある仕上がりとなっている。後にセガサターンやPSに移植された。

本作の音楽を担当するのは崎元仁氏。当時フリーランスだった作曲家である。ライジング製の作品には本作以前に同じくシューティングで疾風魔法大作戦などでの作曲経験がある。本作では重低音が光るオーケストラとシンセを組み合わせたセンスのある楽曲群が揃っているうえに、曲名もすべて夥しい漢字表記で統一されているなど、本作ならではの雰囲気を形作るうえで欠かせない存在感を放っている。サウンドトラックは稼働当時に一度発売されたのち、15年後に根強い要望により再販され、再販版には原曲のほかに一部アレンジ音源なども含まれる。

2面のボスである対宙対地上攻撃衛星「深閃」との戦闘で流れるのがこの曲である。攻撃能力を有する衛星で、その実態は小型の宇宙要塞に近いとされる。低音域で伴奏を奏でるオーケストラに、パーカッションの鮮やかなリズムが重なることで、重々しくもノリの良い響きを生み出す。15秒から主旋律が入ると、その悲壮感のある音色がますます不穏な緊張感を煽る。耳に残るような分厚いリズムと歪んだ電子音が終始似通ったフレーズを反復し、一瞬たりとも気を緩められない重厚なスリルを漂わせ続ける。未知の脅威と戦う感覚を臨場感たっぷりに表現した一曲である。

中毒性のある格好良さですね。あえて直感的な言い方をするなら、やばいやつと戦ってる感がよく出てます。ちなみに2面は道中曲も好きです、浮遊感と切迫感のバランスが絶妙です。『衛星軌道上』、あわせてどうぞ。

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