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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#315 『The Battle of Lil' Slugger』(Danny Baranowsky/Super Meat Boy/X360)

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Team Meatがおくる横スクロールアクション・Super Meat Boyより、

Danny Baranowsky作曲、『The Battle of Lil' Slugger』。1章のボス戦で流れます。

2008年頃にNewgroundで公開されたフラッシュゲーム・Meat Boyを大幅にパワーアップさせて、XBLA向けに配信された本作。肉塊の姿をした主人公・Meat Boyは、悪党にさらわれた包帯姿のヒロイン・Bandage Girlを救いに行くことになる。筋書きこそオーソドックスだが、グラフィックのインパクトは凄まじく、その奇天烈さにふさわしく、死んで覚えるタイプの初見殺しなアクションが数多く用意されている。そのシビアな難易度とリトライ時の気軽さとが相まって、レトロゲームらしい影響を色濃く受けた仕上がりとなっている。PCやPS4、スイッチなど、様々なプラットフォームに移植されている。

本作の音楽を担当するのはDanny Baranowsky氏。主にインディーゲームの作曲を手がけているアメリカ出身の作曲家で、本作以外にも、後に開発スタッフが共通しているThe Binding of Isaacなどを担当することになる。本作ではファミコンライクな作風に寄り添うチップチューン系のサウンドが多く収録されていて、そこにEDMやHR/HMの要素を混ぜ合わせることで、死にゲーらしい暴力性も含まれている。サウンドトラックはオリジナル盤、未使用曲やリミックスを含むスペシャルエディション盤、ピアノアレンジ盤など複数種類が存在する。

死線を越えて辿り着いた最初のボス戦で流れるのがこの曲である。イントロからスピーディーに始動し、血に飢えた獣の唸り声を思わせるエレキギターが、序盤から存在感を放つ。不気味な静けさの先に待ち受ける38秒以降のサビでは、非常に激しいギターの速弾きが猛威を振るう。一貫して疾走感たっぷりに奏でられるダークでアップテンポなメロディーラインが、本作ならではの徹底したバイオレンスを感じさせる。絶望的な重苦しさとダンサブルな軽快さが奇妙に調和した一曲である。

良い勢いですね。