VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#353 『ロケットベルト』(岡素世/パイロットウイングス/SFC)

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任天堂がおくるスカイスポーツシミュレーション・パイロットウイングスより、

岡素世作曲、『ロケットベルト』。ロケットベルトを操作する際に流れます。

スーファミの発売から一ヶ月後という黎明期に発売された本作。スカイスポーツスクールのフライトクラブに入会したプレイヤーは、ライトプレーンやスカイダイビング、ロケットベルトやハンドグライダーなど、様々な種目に挑戦して腕を磨くうち、どさくさに紛れて極秘指令に駆り出されることになる。ハード性能をフルに活用したリアル志向の疑似3D映像表現により、1990年当時にしては非常に再現度の高いフライトシムに仕上がっている。成功時・失敗時ともに個性豊かな教官たちの反応を楽しむもよし、クリア後にさらに高難度な戦いに身を投じるもよし、いろいろな遊びが詰め込まれた作品である。

本作の音楽を担当するのは岡素世氏と近藤浩治氏。岡氏は当時、近藤氏は現在も任天堂に所属している)作曲家である。このうち岡氏は最近はゲーム音楽業界を離れているが、本作以前にはアイスホッケーやVSエキサイトバイク、本作以降にはシムシティースーパーマリオカートなど、90年前後のファミコンおよびスーファミの代表的なサウンドを数多く手がけたことで知られる。本作ではスーファミの内部音源を駆使したパワフルな楽曲が一通り揃っていて、活き活きとしたフライト体験を味わうことができる。本作専用のサウンドトラックは発売されていないが、他の主要タイトルとあわせて任天堂スーパーファミコンゲームミュージックにて一部の曲を収録されている。

ロケットベルトは本作屈指の自由度を誇る飛行装置で、ライトプレーンやハンググライダーとは異なり架空(実在しないわけではないがほとんど実用化されていない)の飛行感覚を堪能することができる。そのロケットベルト操作時に流れるのがこの曲であり、歌うように楽しげな、跳ねるように軽やかな、愉快でリズミカルな曲調となっている。25秒から挿入されるユニークな音色は、どこか間が抜けているふうにも感じられるが、伴奏のスタイリッシュさのおかげで垢抜けた雰囲気をも漂わせていて、思わず一緒に口ずさみたくなるハッピーでグルーヴィな音使いが印象的である。風や慣性の影響を受けやすい、自由気ままな空の旅にぴったりな一曲である。

ウキウキするような曲ですね。