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#067 『ダイナフォー』(久保直人/スーパーマリオ オデッセイ/NS)

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任天堂がおくる3Dアクション・スーパーマリオオデッセイより、

久保直人作曲、『ダイナフォー』。滝の国ダイナフォーで流れます。

マリオシリーズのうち、2002年のサンシャイン以来15年ぶりの箱庭探索型アクションとして登場した本作。今度のマリオは新たな相棒・キャッピーと空飛ぶ帽子型飛行船・オデッセイ号とともに、地球の様々な国を渡り歩くことになる。「マリオ、世界の旅へ。」というキャッチコピーが示す通り、それぞれ特徴の異なるギミック満載の広大なマップを探索し、帽子を投げつけて対象に乗り移る新アクション・キャプチャーを駆使しながら道中に散らばるパワームーンを集めていく。集めたパワームーンはオデッセイ号のパワーアップに使用し、それをもとに次の国へと旅立つことができる。スイッチならではの直感的な操作性と相まって、遊び心と冒険感にあふれた仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは久保直人氏、郷原繁利氏、近藤浩治氏、辻勇旗氏、藤井志帆氏、横田真人氏の六名。いずれも任天堂に所属する作曲家たちで、このうち久保氏がリードコンポザーを、郷原氏がサウンドディレクターを務めている。本作ではマリオシリーズ初となるボーカル曲が採用されたことが特徴で、都市部では軽快なジャズ、大自然のなかでは雄大なオーケストラといったように、国ごとにテイストやジャンルの異なる曲調を取り揃えている。また、メインとなるテーマ曲のモチーフを随所に織り込むことで、楽曲全体に統一感を持たせている。サウンドトラックはボーカル曲やそのカラオケバージョンも含めて4枚組で発売されている。

最初の国を離れて2番目に訪れることになる滝の国ダイナフォーで流れるのがこの曲である。ステージ自体は狭いが、美しい滝の景観と、そこに棲み付く王者のごとき風采の恐竜が特徴である。そうした印象的な風景を彩るにあたって、手始めにストリングスの華やかな音色を響かせることで、イントロの時点ですでに冒険への期待感を膨らませてくれる。そこに伸び伸びとした木管の音が加わり、他の管弦楽器とともにますます明るく盛り上がっていくことで、壮大なオーケストラサウンドならではの圧倒的なスケール感を生み出す。サビに入る前、1分10秒~26秒あたりで一旦スケール感を抑え、笛やアコーディオンを軸とした牧歌的なフレーズを奏でることで、そのあとに来る爽快で臨場感あふれるメロディーをいっそう引き立たせる。序盤のわくわくした気分を後押ししてくれる一曲である。

最初の国は帽子の国ですが、そちらはどこか閉鎖的で怪しげな曲調ですね。それとこの曲を比べるだけでも、曲の雰囲気ががらっと変わるので世界の広さを実感できる気がします。藤井さん作曲の『カブロン』もあわせてどうぞ。

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