VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#100 『地上BGM』(近藤浩治/スーパーマリオブラザーズ/FC)

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任天堂がおくるアクション・スーパーマリオブラザーズより、

近藤浩治作曲、『地上BGM』。地上ステージで流れます。

現在に至るまでテレビゲームの代名詞として語られるマリオシリーズのうち、スーパーマリオシリーズの原点である本作。ファミコンブームの立役者として、あるいはゲーム業界そのものの火付け役として、後世に名を残す名作中の名作である。クッパにさらわれたピーチ姫を救うべく、マリオは冒険の旅に出る。ステージクリア型の横スクロールアクションゲームで、ジャンプを主軸に据えた抜群の操作性による多彩なアクション、シンプルながらも奥深い仕掛けの数々は、三十年以上経った今なお色褪せることのない面白さを保ち続けている。名実ともに世界で一番有名なゲームである。

本作の音楽を担当するのは近藤浩治氏。任天堂に所属する作曲家で、今でこそゲーム音楽の父として知られているが、本作は氏のデビュー作のデビルワールドに続き2作目の担当作品で、ファミコンの限られた音源のなかでいかに彩り豊かな音楽を奏でるかという難題を見事にクリアした会心の楽曲が揃っている。曲づくりにおいてリズム、バランス、インタラクティブの三要素を重んじる氏らしい個性的なサウンドを堪能できる。サウンドトラックはファミコンサウンドヒストリーシリーズや20周年のアニバーサリーアルバムなどが存在する。

地上ステージで流れるのがこの曲である。キャッチーで味わい深いイントロで始まり、自由奔放なメロディーラインの裏で、低音のベースとパーカッションが心地良く響き渡ることで、青空を背景にしたステージにふさわしい明るさと陽気さを感じさせる。ところどころにアクセントの効いた三連符や休符を用いることによって、耳馴染みする独特なリズム感を生み出し、音数のすくなさを補うかのごとく直感的に記憶に残りやすい印象を与える。およそ知らぬ者はいないと言い切れるほどの世界的な知名度を誇る一曲である。

100曲目の紹介ということでふさわしいものを選びました。久保直人さんによるオデッセイのビッグバンド・ジャズアレンジ(『バンド演奏(スーパーマリオブラザーズ 地上)』)もあわせてどうぞ。

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