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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#130 『ICLUCIAN DANCE』(Falcom Sound Team jdk/イースVIII -Lacrimosa of Dana-/PSV)

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日本ファルコムがおくるアクションRPGイースより、

Falcom Sound Team jdk(宇仁菅孝宏・園田隼人)作曲、8の『ICLUCIAN DANCE』。

トワル街道やロディニア街道などで流れます。

イースシリーズのうち、ナンバリング8作目にして前作から7年ぶりの新作として登場した本作。永遠に呪われた島・セイレン島を舞台に、船旅の途中で怪物に襲われて漂着した冒険家・アドル=クリスティンは、夢のなかに現れる謎の少女・ダーナ=イクルシアと意識を共有しながら、かつて島に存在したというエタニア王国の興亡の真相に迫っていく。アドルとダーナによるダブル主人公制を採用していて、島を丸々探索できる広大なフィールドと、疾走感の増したアクションが特徴である。無人島ならではの要素として、漂流村を発展させて、ときにはモンスターの襲撃から村を守る迎撃戦に参加したり、頼まれた依頼をこなしたりして漂流者同士の親交を深めていくこともできる。後に追加要素を加えてPS4やPC、スイッチ向けにも発売された。

本作の音楽を担当するのは日本ファルコムお抱えのサウンドチーム・Falcom Sound Team jdkの面々。現在所属しているリーダーの園田隼人氏と宇仁菅孝宏氏が作曲を手がけ、加えて神藤由東大氏と真我光生氏が編曲を担当している。本作でも熱く滴るようなメロディーを得意とするファルコムらしい楽曲が多く揃っていて、また移植先ではボリュームアップに伴っていくつかの新曲が追加されている。サウンドトラックはオリジナル版、追加曲も含めた完全版、そのほか厳選した楽曲を神藤・真我両氏が編曲したアレンジアルバムが存在する。

トワル街道やロディニア街道などで流れるのがこの曲である。中盤以降、終盤にかけて訪れることになるフィールドである。冒頭から奮迅の勢いで奏でられるストリングスで始まり、力強く反復するピアノの煌びやかな高音を下敷きに、弦の主旋律が伸びやかに開放感たっぷりに駆け抜けていく。メインメロディーの美しさはさることながら、伴奏でエレキギターの重低音やリズミカルなドラムを響かせることで、爽快でありながら重厚な空気感を醸し出す。エレキのみならずアコースティックギターも取り入れていて、特に1分半あたりの間奏部分で独特な哀愁と歯切れの良さを感じさせる。その後、ピアノやバイオリンを散りばめながら徐々に曲終盤に向けて勢いを整える。最後のサビに突入する直前、2分25~28秒において一際力強い豪快な溜めを披露すると、続くラストスパートの清涼感と焦燥感を見事に引き出す。全編にわたって胸がすくほど心地良い勢いに満ちた一曲である。

イクルシアンというのはダーナの苗字から来ているでしょうから、広い意味でダーナのテーマみたいなものかもしれません。