VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#225 『夜を越えて (Story Mode Menu)』(佐藤直之/Elebits/Wii)

www.youtube.com

コナミがおくるみつけてつかまえアクション・エレビッツより、

佐藤直之作曲、『夜を越えて (Story Mode Menu)』。メニューで流れます。

Wiiの発売と同時に世に送り出されたローンチタイトルにあたる本作。エレビッツと呼ばれるエネルギーの素である不思議ないきものが人間と共存する世界を舞台に、ある日の落雷で方々へと逃げ出してしまった彼らを探すべく、家の中や街の中を捜索することになる。Wiiリモコンをキャプチャーガンに見立てて、暗闇のなかでぼうっとエレビッツを捕獲するという、一種のステージクリア型のファーストパーソンシューティングである。モーションセンサーとヌンチャクを駆使した直感的なアクションが特徴で、制限時間内に一定量のワット数(エレビッツを捕獲することで蓄積される)を集めることが目的となる。Wiiらしさを活かした新感覚な仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは佐藤直之氏と山根ミチル氏。主題歌の編曲に松浦晃久氏も参加している。佐藤氏と山根氏はいずれも当時コナミに所属していた(佐藤氏は現在もしている)作曲家である。このうち山根氏の担当は一曲のみで、他はすべて佐藤氏が作曲している。本作では朗らかで愛らしい作風に沿った、キュートなエレクトロニックサウンドが数多く用意されていて、ハウスやラウンジミュージック、トイポップ系の色合いが強いエレクトロニカ、いわゆるトイトロニカなどのジャンルが堪能できる。サウンドトラックは主題歌の日英両バージョン入りで収録されている。

ストーリーモードのメニューで流れるのがこの曲である。柔らかい電子音から始まり、柔らかい電子音で終わる、いかにもエレクトロニカらしい優しい音色が特徴である。冒頭の30秒弱で思わず微睡んでしまいそうになるほどの温もりと心地良さを印象付けると、以降はパーカッションパートが勢いづいてリズミカルなノリを生む。どこかノスタルジックにさえ響く癒しの旋律は、その後も楽しげな勢いを増していき、特に1分20秒頃からはサビとも言えるような、こぢんまりとしつつも華やかで可愛らしい盛り上がりをみせる。とてもポジティブでチャーミングな一曲である。

こういうエレクトロニカ、すごく好きです。淡々としているけど冷淡ではない、パステルカラーのようなほんわか加減があるような印象です。