VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#228 『Title Screen Theme』(Tim Follin/Pictionary/NES)

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Software Creationsがおくるボードゲーム・Pictionaryより、

Tim Follin作曲、『Title Screen Theme』(仮称)。タイトル画面で流れます。

日本未発売の本作。ピクショナリーと呼ばれる、主に欧米圏で知られる絵当てクイズとすごろくを組み合わせた有名なボードゲームを題材にしたゲーム化作品である。大元のボードゲームは複数人でやることを前提としているが、本作は同時プレイのほか、CPUと対戦できる一人プレイにも対応している。本作を語るうえでは欠かせない、非常に印象に残る音楽と相まって、シンプルながらもリプレイ性のある仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのはTim Follin氏。当時Software Creationsに所属していたイギリス出身の作曲家で、遡ればコモドール64でも作曲を担当していたほどゲーム音楽に造詣が深い。内部音源の可能性を最大限にまで活かした、ハードの制約をものともしない濃密な音使いは、本作においてもたっぷり堪能できる。サウンドトラック等は存在しないため、曲名は便宜上のものである。

タイトル画面で流れるのがこの曲である。迫力満点に響き渡るビートと、自由奔放に駆け巡る即興風のメロディーラインが重なって、複雑怪奇な味わい深さを生み出している。30秒過ぎたあたりで主旋律は一気に低音に移行し、40秒以降は和音となって重厚さに磨きをかけ、50秒手前で青天の霹靂とも言うべき解放感あふれる高音が奏でられるなど、その曲調は目まぐるしいほど起伏に富んでいて、やりたい放題やった挙句に最終的にはきちんと有終の美を飾る。たかがボードゲーム、されどボードゲームと言わんばかりの熱く滴る魅力に満ちた一曲である。

彼の作曲のなかではこれでもまだ控えめなほうと言いますか、本作は(あくまで比較的)落ち着いたサウンド揃いです。『Mini-Game 2』はこの曲の部分的なアレンジですが、そちらはちょっぴり派手。あわせてどうぞ。

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