VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#409 『イグニッション』(浜渦正志/アライアンス・アライブ/3DS)

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フリューがおくる群像劇RPG・アライアンスアライブより、

浜渦正志作曲、『イグニッション』。大型モンスター戦などで流れます。

レジェンドオブレガシーの系譜を継ぐ完全新作として登場した本作。五つのゾーンに分断された世界を舞台に、年齢も性別も種族も異なる九人の主人公が、それぞれの目的を果たすべく冒険の旅に出ることになる。クラシックなJRPGを意識したオーソドックスな作風が特徴の群像劇タイプのファンタジーである。戦闘は最大5人編成で挑むターン制コマンドバトルを採用していて、キャラクターのやる気ゲージが溜まると発生するイグニッション状態や、イニッション中にのみ発動可能な、武器を犠牲にして放つ強力な必殺技・ファイナルストライクなど、使い方次第で一発逆転できるスリリングな要素が取り入れられている。総じて遊びやすさと堅実さを両立した仕上がりとなっている。後にPS4、スイッチ、PC、スマホ向けにHDリマスター版が登場した。

本作の音楽を担当するのは浜渦正志氏とAYANEこと浜渦あやね氏である。浜渦正志氏はレジェンドオブレガシーにも携わっている作曲家である。また、AYANE氏は浜渦正志氏の娘で、担当しているのは2曲、本作が作曲家デビューである。本作はいわゆる王道のファンタジーRPGだが、ゾーンによってはスチームパンクや和風のエッセンスを取り入れている。そうした複雑に絡み合った世界観を表現するにあたって、聴き応えのある上品で洗練された楽曲が揃っている。サウンドトラックは通常のもののほかに、初回限定盤にミニサントラが付属されていて、曲名はいずれもゲーム内のサウンドテストにおける表記とは異なる。

中盤以降、大型モンスターとの一触即発の戦闘で流れるこの曲は、格調高いバイオリンとヴィオラの音色が印象的な一曲である。電子音やピアノとうまく融合することで、流れるような美しさ、うねるような心地良さを生み出し、ただストレートに情熱的な戦闘曲というだけに留まらぬ深遠な魅力を醸している。終始落ち着いた雰囲気を保ちつつ、サビでは深みからぐっと湧き上がるような力強い盛り上がりを見せ、透明感と清涼感と昂揚感が見事に調和した仕上がりとなっている。なお、ゲーム内の表記は『熱戦の歌』である。

アンサガの『バトルテーマI』的なヴァイブを感じますね。バイオリンのくねくねした音使いがよく似ています。

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