VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#717 『Red-Eyed Hazard』(harmonicblend/HEARTBEAT/PC)

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CHUMBOSOFTがおくるRPG・HEARTBEATより、

harmonicblend作曲、『Red-Eyed Hazard』。ボス戦で流れます。

インディーゲームデベロッパー・CHUMBOSOFTのデビュー作にあたる本作。人間と魔法生物・モグワイが暮らす世界を舞台に、モグワイと心を通わせるコンジャラーである主人公のEveは、相棒でモグワイのKleinとともに冒険をすることになる。ゲームボーイアドバンス風のグラフィックが印象的なRPGツクール製作品で、人間・モグワイともにユニークなキャラクターたちが織り成す奥深いシナリオが特徴である。豊富な育成要素やモグワイ固有の能力を用いた謎解き要素も相まって、細部までつくり込まれた仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのはharmonicblendの面々。インディーゲーム、特にツクール製の作品を中心に手がけるインドネシア出身の音楽サークルで、複数人で役割分担しているなかでも特に作曲に関してはリーダーのTrass氏が担当している。また、国産のフリー音楽素材サイトである煉獄庭園(煉獄小僧氏による)とMusMus(watson氏による)からも一部のBGMを借りている。本作ではゲームボーイライクな雰囲気やオールドスクールRPGというコンセプトにあわせて、チップチューンと生の音が融合した独特なノリの楽曲が揃っている。サウンドトラックはフリー素材を除くharmonicblendの担当分のみを収録したものが発売されていて、サークル公式のyoutubeチャンネルやSoundCloudにフル試聴音源が投稿されている。

本作ではキャラごとに固有の戦闘曲が数多く用意されているが、それとは別に、汎用的なボス戦で流れるのがこの曲である。低音を利かせたレトロなイントロから始まり、そこから一気に開放感たっぷりにピアノやシンセを交えて展開していく。30秒手前からしばらく管楽器らしき音色を挿入することにより、シリアスかつドラマチックなムードを駆り立て、続いで奏でられるサビをいっそう鮮やかに盛り上げてくれる。二度目のサビの直前にはあえて音がこもるようなフィルターをかけることで、ピアノの美しさを引き立てるとともに、その後の響きをよりクリアにメリハリ豊かに彩り、終始力強い疾走感を保ち続ける。真剣勝負にふさわしい一曲である。

こういうハイブリッドなチップチューンは味があっていいですね。