魔法株式会社がおくるシミュレーション・花火FANTASTより、
桑木野恒・滝根俊之作曲、『ムムーヌ&ムムーナの課題』(仮称)。
鏡のくにの課題で流れます。
花火を題材としたシミュレーションゲームとして登場した本作。突然体調を崩した天才花火職人のパイロンに代わり、弟子である主人公が、開園間近のテーマパーク・花火ランドを盛り上げるべく美しい花火を打ち上げることになる。花火の材料を集め、大まかな形状をつくる型と中身の星を選ぶことで、ときにはエリアごとに定められた課題に応じて、ときには自分好みに花火をデザインしていき、プログラムを組んで実演できる仕組みとなっている。一風変わった花火づくりを体験できる奥深い仕上がりである。
本作の音楽を担当するのは桑木野恒氏と滝根俊之氏。ともに当時おそらく魔法株式会社に所属していたと思われる作曲家たちである。このうち滝根氏はサウンドディレクターを務めていて、効果音も手がけている。本作ではテーマパークらしい煌びやかで元気溌剌としたものから、花火を打ち上げる夜空にふさわしい幻想的なものまで、ファンタジックな作風に沿った楽曲が多く揃っていて、それぞれの課題に見合った曲が割り当てられている。サウンドトラックは未発売のため、曲名は便宜上の仮称とする。
鏡のくにのボスであるムムーヌとムムーナの課題において流れるのがこの曲である。ムムーヌとムムーナは二つで一つの不思議な存在で、稚拙なようで哲学的でもある独特な口調で話す珍妙さが特徴だが、鏡のくにもまたその名に恥じぬ神妙なギミック(マップ上では一見半分しかないタージマハル風の宮殿など)に満ちたエリアである。その課題曲として与えられるこの曲は、静謐さが漂うハープのイントロから始まり、やおらフルートやストリングスを交えて叙情的な勢いを蓄えていく。50秒過ぎたあたりからオリエンタルな風情にあふれた独創的なボイスが加わり、サビを超えたあとの間奏部分では判読不能な囁き声が挿入されることで、ますます深い異国情緒を感じさせる。幻想の彼方へと誘ってくれるような一曲である。
どこか得も言われぬ生命力を感じる曲です。すこしおちゃらけた雰囲気ですが、フレーズを共有する鏡のくにのマップ曲もあわせてどうぞ。