KASS(笠谷文人)・石母田守・青島伸幸・園田容子・西隆宏作曲、『戦闘』。
戦闘シーンで流れます。上記動画の45:36から49:52まで。
メガCDのローンチ直後に発売された本作。戦国時代を舞台に、大名を一人選んで全国統一を目指すことになる。1555年春の群雄割拠、1575年夏の天下布武、1582年夏の本能寺炎上、1600年春の関ヶ原の四つのシナリオが用意されていて、デモ映像が実写だったり、一般的によく知られる有名な人物のみならず、1200人にも及ぶ武将にそれぞれ専用のグラフィックがあてがわれていたりするなど、大容量を活かしたつくりとなっている。内政よりも合戦重視の設計で、敵の思考ルーチンが非常に優秀で手強いことから、いかに効率的に勢力を拡大するか、ときには一旦他の大名に降伏(降伏してもゲームオーバーにならない)してから機を見て謀反を起こすことも視野に入れながら攻略していくことになる。難易度は高いが、それに見合う戦略性と奥深さを兼ね備えた仕上がりとなっている。
本作の音楽を担当するのはKASS(笠谷文人)氏、石母田守氏、青島伸幸氏、園田容子氏、西隆宏氏の五名。当時ゲームアーツに所属していた西氏を除き、いずれも音楽制作会社メカノアソシエイツ所属の作曲家たちである。このうち笠谷氏は作曲に加えてサウンドプロデュースも手がけている。本作では正統派のシミュレーションというコンセプトに沿って、大河ドラマのような臨場感のあるサウンドが揃っていて、特にオープニングやナレーションなど、要所要所にオーケストラの生音を採用している。その他の場面はFM音源とPCM音源を組み合わせたものが用いられていて、戦国時代の雰囲気を力強く盛り上げてくれる。サウンドトラックは未発売だが、ゲーム内にサウンドテストが設けられていて、本稿の曲名の表記もそれに従うものとする。
いざ敵勢と衝突する戦闘シーンで流れるのがこの曲である。力攻めか兵糧攻めか、野戦では実際に兵を動かしながら、派手なアニメーションも交えて戦うことになるが、そうした緊迫感あふれる状況を迫力たっぷりの旋律で彩っている。小刻みにテンポよくパーカッションが挿入されることで、ずしんと腹の底に響くような重厚感を醸し出していて、厳しい戦がもたらす劇的な昂揚感を見事に表現している。ちなみに戦闘開始前に全国各地の戦の状況が日本地図で示されるが、その際流れるのはこの曲のアレンジ(和太鼓以外のドラムを削ってスローダウンしたもの)で、開始前と開始後でスピードアップすることで、いっそう激しく闘争心を駆り立ててくれる。
この曲を紹介してほしいというリクエストをいただきました。作戦フェイズの曲でじわじわと勢いを蓄えていって、戦闘開始前で徐々に士気を高め、開始後にいざ出陣!という流れが非常によくできていますね。37:37から作戦フェイズの不穏~軍略、40:59から戦闘開始前の曲が流れるので、ぜひ通しで聴いてみてください。(同じ動画を別途秒数指定して以下にも掲載します)
※追記 いただいたコメントに基づき、内容を加筆修正しました。