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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#798 『The Interim』(眞鍋昭大/仁王2/PS4)

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コーエーテクモがおくるダーク戦国アクションRPG・仁王より、

眞鍋昭大作曲、2の『The Interim』。中陰の間で流れます。

「戦国死にゲー」の謳い文句で知られる仁王のナンバリング2作目として登場した本作。戦国時代を舞台に、錫杖を持った謎の男に母親を殺され、当てもなく妖怪退治に明け暮れていた半妖の主人公・秀千代は、天下人に成り上がるという野心を抱く行商人・藤吉郎との出会いを通じて、二人で一つの名を共有する「秀吉」として共に乱世を生き、そして死ぬことになる。常に死と隣り合わせの歯応えたっぷりの難易度と、史実をベースにした幽玄な世界観はそのままに、新たな要素として自由なキャラメイクや、自ら妖怪に変身する妖怪化、部分的に妖怪を憑依して発動する妖怪技などが導入された。また、前作は2人までだった常世同行(マルチプレイ)が最大3人までに増え、オンライン要素が拡張された。前作から大きく変わるようなことはないが、順当にブラッシュアップされて重厚さが増した仕上がりとなっている。後にDLC込みで収録した完全版がPS5とSteam向けに登場した。

本作の音楽を担当するのは菅野祐悟氏と眞鍋昭大氏。いずれも音楽プロダクション・ワンミュージックに所属し、普段はドラマや映画の劇判を担当している作曲家である。菅野氏は前作に引き続きの参加で、今回は前作の楽曲の編曲のみを手がけている。対する眞鍋氏はゲーム音楽を担当するのは本作が初めてであるなかで、メインコンポーザーとして新規に楽曲を書き下ろしている。本作では尺八を主軸に据えた、和風でありながらどこかハリウッド映画的な壮大さを持つ無国籍なサウンドが勢揃いしている。サウンドトラックは2枚組で収録されている。

中陰の間は死者が行き着く悠久の場所で、物語終盤に加え、ゲーム開始直後のチュートリアルでも訪れることになるが、そこで流れるのがこの曲である。激しく重苦しい曲が多い本作のなかでも一際印象的な、極上の安寧をもたらす曲調が特徴である。優しくゆったりと淀みなく奏でられる弦の音色は、穏やかすぎるあまり、かえって胸を締め付けるような切なさを滲ませている。静かに焦らし続けて、ようやく1分15秒でサビに辿り着くと、その艶やかな慈しみと憂いを帯びたエレガントなオーケストラが、息をのむほどの美しさを魅せつけてくれる。何度死のうとも、悲運の死のその先へと旅立つ決意を固めさせてくれるような、奥ゆかしくも力強い魅力に満ちた一曲である。

複数の楽曲が流れるエンディングのメドレーのトリも務めていて、要するにゲーム開始後すぐのチュートリアルと、エンディングの一番最後を同じ曲にすることで、円環構造で有終の美を飾っている感じでしょうか。演出も含めてすごく素敵です。作曲家二人のインタビュー動画もあるのでどうぞ。

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