シムスがおくるRPG・VAYより、迫茂樹作曲、『ボス戦』（仮称）。
ボス戦およびラストダンジョンの通常戦闘で流れます。
メガCD用のRPGとして登場した本作。結婚式の当日に敵国・ダーネック王国に花嫁をさらわれ、両親を殺され、壊滅的な被害を受けたハイネロア国の王子・ハイベルガーは、さらわれた姫を取り戻すべく旅立つことになる。王道かつ簡素なRPGで、要所要所にアニメーションで動くムービーシーンが挿入されている点が特徴である。戦闘はオート進行も可能なランダムエンカウント制のコマンド式バトルで、全体的にさくっと攻略できる緩めのゲームバランスとなっている。目立った新奇性はないが、オーソドックスにまとまった仕上がりで、後にスマホアプリ向けに移植された。
本作の音楽を担当するのはSAKOPこと迫茂樹氏。90年代前半のシムス（および開発元のHertz）製の作品に複数携わっていた作曲家である。本作ではよくあるシンプルなファンタジーの世界観にあわせて、壮大なものから神秘的なものまで一通り揃っているなかで、特に戦闘曲まわりのノリの良さが非常に良く映える。サウンドトラックは未発売のため、曲名は便宜上の仮称とするが、例外として唯一、通常戦闘曲だけは当時刊行されていた雑誌・SUPERメガドライブFANの付録CDに収録されている。
ボス戦と、ラストダンジョンの天空要塞における通常戦闘で流れるのがこの曲である。冒頭の第一音からメタリックな音色で痛快にかっ飛ばすクールなイントロが印象的で、金属質な主旋律と、力強く吼える重低音のベースラインとが絡み合って、底から沸き起こるような情熱を感じさせる。36秒からのフレーズではすこし勢いを抑えて悲壮的なムードを漂わせるが、溜めた勢いを解放して再びサビに回帰することで、ほとばしるようなメリハリの豊かさを演出する。そのまま勢いを落とさず1分13秒でループに突入、激闘を彩るにふさわしい迫力に満ちた一曲である。
通常戦闘曲もイントロからガンガン響くアップテンポなEDMみたいな感じで、とても聴き応えがあります。『戦闘』（こちらは正式曲名）、あわせてどうぞ。
