クライマックスがおくるドライブアクション・ランナバウトより、
中シゲヲ作曲、『Start Incation』。DOWN TOWNで流れます。
クライマックスの代表作であるランナバウトシリーズの1作目にあたる本作。主人公はおきて破りな運び屋となって、街中を爆走することになる。車の挙動や操作はそれなりに標準的だが、内容は自由そのもので、車の耐久力がある限り、制限時間を超過してでも電話ボックスやショッピングモールといったあらゆるオブジェに突っ込んでいって破壊することができる。破壊の実績に応じて画面右上に損害額が表示され、ゼロに抑えるか、一定以上の大量損害を発生させるかなどの条件を満たせば新しい車種が解禁される。車と一口に言ってもスクーターや戦車も運転でき、異なるプレイスタイルでステージを攻略することができる。ドライビングシミュレーターでもレースゲームでもない、ドライブアクションならではの豪快さに満ちあふれた怪作である。
本作の音楽を担当するのは中シゲヲ氏。ロックバンドのザ・サーフコースターズのギタリストである。作曲に加えて演奏もバンド全体で手がけている。ランナバウトシリーズには本作以降、2を除いて携わっている。本作のやりたい放題な作風にあわせて、楽曲のほうも非常にパワフルでエネルギッシュなロックナンバーが揃っている。ステージ総数が三つと限定的なことから曲数も同様にすくないが、どれも爆走のお供に誂え向きなノリノリな曲調に仕上がっている。サウンドトラックは主題歌も含めて収録されている。
最初のステージであるDOWN TOWNで流れるのがこの曲である。開始地点はチャイナタウン、市街を抜けた先には海沿いに邸宅やホテルなどがあり、見どころ満載の走り甲斐のあるコース設計となっている。そこで流れるこの曲も聴きどころと聴き甲斐にあふれていて、特徴的なイントロに続いて奏でられる怒涛のドラムとギターが激走気分を盛り上げる。違反行為への罪悪感を一切漂わせぬカラッとした明るさが印象的で、全編にわたって爽やかな疾走感に満ちている。54秒あたりからさらにスピーディーな展開を見せると、1分25秒からますます勢いが増し、縦横無尽なノリを披露する。ループ前のラストスパート、2分12秒頃にはいっそう過熱していき、最終的にはメインのリフに繋がって次のループへと突入する。終始凄まじい熱量でカオスなドライブを彩ってくれる一曲である。
曲名にあるinactionはactionの否定なので、何もしないことです。取って然るべき行動をしない、というニュアンスもあるようですね。
