VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#960 『進行フェイズ』(大熊謙一・笠原咲奈恵/戦国の覇者 天下布武への道/SFC)

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ゲームアーツがおくる戦国シミュレーション・天下布武より、

大熊謙一・笠原咲奈恵作曲、SFC版の『進行フェイズ』(仮称)。

進行フェイズで流れます。上記動画の8:24から10:55まで。

メガCDの歴史シミュレーション・天下布武スーファミ移植版にあたる本作。原作の4シナリオを再構成し、本能寺の変直前のシナリオ・天下夢幻を含めた計5編から成る全国版と、地方ごとに分けたシナリオ4編から成る地域版のいずれかのモードで、開始時に大名を一人選んで統一を目指すことになる。基本的なゲーム性は原作を踏襲しているが、移植に際して実写のデモ映像がカットされたほか、敵の思考速度が遅く、待ち時間が長くなった。その一方で、降伏大名になってからの行動の自由度が増し、外様大名に対する領地の増減や転封も可能になるなど、攻略の面白味を付加するような独自の新要素も含まれる。原作とはまた違った遊び応えを感じられる仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは故・大熊謙一氏と笠原咲奈恵氏。いずれも当時、音楽制作会社ツーファイブに所属していた作曲家である。原作の作曲は主に音楽制作会社メカノアソシエイツの面々によるものだったが、本作では楽曲がすべて新規に差し替えられている。作曲者は変われど戦国の雰囲気を表現した臨場感のあるサウンドは健在で、太鼓といった打楽器が目立つ軍楽のような楽曲が取り揃えられている。サウンドトラックは未発売のため、曲名は便宜上の仮称とする。

進行フェイズで流れるのがこの曲である。戦略フェイズの後に来るフェイズで、この曲はメインテーマさながらに繰り返し耳にすることになる。行進曲を彷彿させるような重めのパーカッションが印象的で、管楽器を思わせる厚みのある音色が堂々と力強い旋律を紡いでいく。しばらくして伴奏・主旋律ともに高音が目立つようになると、勇ましさと美しさを両立しながら凛々しいメリハリを見せる。続いて笛の旋律の後を追うようにして弦の伴奏が奏でられ、最高潮に達したところで、ループ直前に木琴らしき音色が音階を駆け下り、また初めから仕切り直す。天下統一に向けた機運を雄々しく盛り上げる一曲である。

この曲を紹介してほしいというリクエストをいただきました。しっかりと音に厚みがあって、生のオーケストラで演奏したときのイメージが湧いてきますね。

※追記 いただいたコメントに基づき、内容を加筆修正しました。