クエストがおくるシミュレーションRPG・伝説のオウガバトルより、
岩田匡治作曲、『Guerrilla War』。戦闘で流れます。
クエストの代表作にしてオウガバトルシリーズの第1作にあたる本作。暴虐を尽くす神聖ゼテギネア帝国の支配から脱するべく、反乱軍のリーダーに推挙された主人公は、仲間とともに民を解放する戦いに挑むことになる。リアルタイムストラテジー要素を含むシミュレーションRPGで、ユニットを編成し、進軍する地域を選び、指示した作戦のもとに半自動でキャラを戦わせて各地の都市を解放していく。特筆すべきは民衆の支持度を示すカオスフレームという独自システムで、決算時に獲得できる収入、仲間にできるキャラ、辿り着ける結末(全14種類)など、プレイヤーの行動と選択次第で様々な要素に影響を及ぼす。支持度は拠点の与奪、攻略に要する日数、派遣するユニットの相性などによって変動するため、どの戦場にどのユニットを向かわせるかをよく見極めて進める必要がある。王道ファンタジーの世界観にストラテジーゲーム特有の周回し甲斐のある骨太なゲーム性がうまく嚙み合った仕上がりとなっている。後にPSやセガサターンに移植された。
本作の音楽を担当するのは岩田匡治氏、崎元仁氏、松尾早人氏。いずれも当時フリーランスで活躍していた作曲家で、このうち岩田氏はかつてクエストに在籍していたことがある。岩田氏は本作以降もオウガバトルシリーズには欠かさず携わっていて、崎元氏は流用曲のみの64を除きすべてのシリーズ作品に、松尾氏は本作と64に参加している。本作では善悪の入り混じる手強いファンタジー風の作風にあわせて切迫感のあるオーケストラサウンドが勢揃いしている。また、作中にミュージックモードがあり、シリアスな曲調が多いのに反して、一部の曲名は突飛なネーミングであることで知られる。サウンドトラックにはオリジナルのSFC音源とMIDI音源が両方収録されている。
戦闘で流れるのがこの曲である。前述の通り戦闘は原則オート進行だが、作戦の指示やタロットカード(強力な効果を持つ切り札)の使用など、すくなからず能動的に干渉できる要素がある。いざというときに介入できるよう緊張感をもって見守るシチュエーションを、イントロからせわしなく反復する管弦楽器によって臨場感たっぷりに彩る。後ろで慌ただしく拍を刻む打楽器と相まって、全体的に急き立てられているような雰囲気が色濃く漂っている。28秒頃で鋭い高音が鳴り響き、続く35秒から新たなフレーズが入ると、いっそう危機的な焦燥感を滲ませるようになる。その後、50秒手前で勇ましい盛り上がりをみせるも、55秒には鐘の音を交えて再び予断を許さない曲調に戻り、ループ直前の1分6~9秒では徐々に音程を上昇させることで、一触即発のひりついた空気感を生み出す。曲全体を通して戦慄が走る一曲である。
本能的に身震いしてしまいそうな恐い曲ですね。とても好みです。