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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1172 『Chaotic Fight』(本田晃弘/ANUBIS ZONE OF THE ENDERS/PS2)

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コナミがおくるハイスピードロボットアクション・ZONE OF THE ENDERSより、

本田晃弘作曲、ANUBISの『Chaotic Fight』。荒野乱戦のミッションで流れます。

ロボットアニメを意識した作風で知られるZ.O.Eの続編にあたる本作。前作から2年後を舞台に、元軍人の採氷労働者であるディンゴ・イーグリットは、作業中に偶然オービタルフレーム(高機動人型ロボット)・ジェフティを発見するも、敵襲を受けて成り行きで搭乗したことを契機に、やがて大きな戦いに身を投じることになる。ミッションクリア型の3Dロボットアクションで、前作譲りの簡単操作で爽快かつクールな戦闘システムに、各種レスポンスを改良してさらにスピード感が増したゲーム性が特徴である。カットシーンのアニメ的演出も秀でていて、アニメパートとアクションパートが流れるように繋がることで、魅せ場の多いノンストップの没入感を楽しむことができる。迫力あるビジュアル表現や、短いながらもロボットもののツボを押さえたストーリーと相まって、全体的に要領よくまとまった仕上がりとなっている。後に追加要素を加えたSPECIAL EDITION、前作と合わせてPS3Xbox360向けに移植したHD EDITION、PS4とPC向けに再リマスターしたM∀RSが登場した。

本作の音楽を担当するのは桐岡麻季氏、角田利之氏、 日比野則彦氏、本田晃弘氏。編曲のみかつ1曲のみの参加で久米大作氏も携わっている。桐岡氏・日比野氏・本田氏は当時、角田氏は現在もコナミに所属する作曲家である。また、久米氏はフリーの作編曲家である。いずれも前作に関わっていたシリーズおなじみの顔ぶれである。本作では一際インパクトのある造語歌詞&民族調の主題歌をはじめ、疾走感や切迫感を強く滲ませたテクノやオーケストラ系のサウンドが取り揃えられている。サウンドトラックには鈴木光人氏による主題歌のリミックスバージョンも含めて収録されている。

荒野乱戦のミッションで流れるのがこの曲である。物語終盤のステージで、マップを覆い尽くさんばかりの大量の敵を前にして、自機と僚機のたった2機で、40機の護衛対象を守りながら戦うことになる。引っ切りなしに届く救難信号を捌きつつ、片っ端から敵を潰していかなければならない地獄の戦場を彩るにあたって、冒頭から耳をつんざくような高音を鳴らして瞬く間に緊張を煽る。圧迫感に満ちたストリングスとブラス、重く凛々しく響くドラムや鐘、まるでオペラを連想させるビブラートの利いた壮麗な歌声を組み合わせることで、震えるほど恐ろしい悲愴感を漂わせる。26秒からは分厚い重低音を駆使する傍ら、徐々に音量を上げて勢力を強めていき、ますます顕著に恐怖心を駆り立てる。1分過ぎには相対的にドラムが目立つようになるほか、1分40秒頃からはバイオリンがしきりに短い音を鳴らすなどして、曲後半にかけても熾烈な勢いを保ち続ける。刻一刻と過酷さが増してゆく混戦を的確に表現した一曲である。

この曲を紹介してほしいというリクエストをいただきました。さながらホラーのような曲調ですね。公式のライナーノーツの本人談で「一番苦労した」「この曲でかなり白髪が増えました」とコメントされているだけのことはありますね。

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