VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1449 『道具屋』(MASA/西遊記/PS)

www.youtube.com

コーエーがおくるシミュレーションRPG西遊記より、

MASA作曲、『道具屋』。道具屋で流れます。

中国の白話小説西遊記をモチーフにした作品として登場した本作。唐の時代を舞台に、観音菩薩のお告げを受けて三蔵法師は天竺を目指して旅立つうち、やがて孫悟空ら妖怪の仲間たちと出会い、未知の脅威をもたらす八鬼衆に立ち向かうことになる。世界観は概ね小説を踏襲しているが、主人公の三蔵法師の性別を選べるほか、ヒンドゥー教由来のキャラやゲームオリジナルの設定が多く取り入れられている。戦闘は正方形で区切られたクォータービューのマップ上でおこなわれ、非常に顕著な高低差の概念や多彩なマップギミックが備えられている。ユニットごとに五行の属性が付与されていて相性が存在するほか、妖怪には神獣変化という強力な変身コマンドがあり、三蔵法師には神将召喚という味方全体に絶大な支援効果をもたらす必殺コマンドがある。システム的に難解さはないが、全体的にややスローテンポで地道に攻略する必要がある。総じて西遊記のゲーム化作品としてそこそこの水準でまとまった仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのはMASA氏。当時コーエーに所属していた作曲家で、同社の在籍期間が長かった氏にとって本作は初期の担当作品の一つである。また、オープニングテーマにはロックバンド・ゴダイゴタケカワユキヒデ氏を起用している。本作では多少オリエンタルな雰囲気を漂わせつつ、必ずしも古代中国というイメージに囚われない鮮やかなシンセやロック系のナンバーが取り揃えられている。サウンドトラックにはオープニングテーマやそのインスト版も含めて収録されている。

道具屋で流れるのがこの曲である。各地の村に点在し、様々な防具や巻物、限定品の掘り出し物などを購入できる。そうしたなか、ピアノと鼓によるシンプルかつリズミカルなイントロで居心地の良い第一印象を植え付ける。8秒あたりから笛が加わると買い物気分を楽しげに彩り、15~16秒などで洒落たベースを添えることで小粋な聴き心地を生む。24秒からは笛は笛でも尺八のような奥深い響きを帯びた笛の音が聴こえるようになり、冒頭の瓢箪笛のような音色とは違った趣を感じさせる。31~32秒や39~40秒などでみられるようにフレーズの合間には相変わらずベースを挿入していて、それが瀟洒な雰囲気を形作っている。旅支度を整えるためのちょっとした寄り道を彩るにふさわしい軽快な一曲である。

なんだか和む曲ですね。