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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1574 『Pepperman Strikes!』(Ronan "Mr. Sauceman" de Castel/Pizza Tower/PC)

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Tour De Pizzaがおくるプラットフォーマー・Pizza Towerより、

Ronan "Mr. Sauceman" de Castel作曲、『Pepperman Strikes!』。

Pepperman戦で流れます。

フランス系カナダ人によるインディースタジオ・Tour De Pizzaのデビュー作にあたる本作。ピザ屋を営むPeppino Spaghettiは、ある日突然、空飛ぶピザのPizzafaceに塔の上から核レーザーで店を破壊すると宣戦布告され、意味不明の脅威に立ち向かうことになる。レトロでクレイジーカートゥーン風のグラフィック、ワリオランドシリーズにインスパイアされたと公言するゲーム性、そしてどこぞのハリネズミよろしく音速で駆け抜けるハイスピードなアクションが特徴的な2Dプラットフォーマーである。塔は5階建て、各階にはそれぞれ4面+ボス面があり、ステージの最後にはPizza Timeと言って制限時間内の脱出を目指すハチャメチャな逆走シーケンスが設けられる。ボス戦を除いて基本的に自機は不死身で被弾をものともせず、突進して敵を潰したり障害物を破ったり、コンボを繋げて敵を一網打尽にしたり、猛ダッシュすれば壁すら登れたりする人間離れした能力を持つため、ノリに乗ってガンガン進められる。道中には救出対象としてToppinsというピザの具材がいて、救出するとスコアとお金を得られ、お金を払うことでボスに挑めるようになる。また、どのステージも細かな稼ぎ要素や隠しギミックが充実している。総じて真心たっぷりで具だくさんな仕上がりとなっている。後にスイッチに移植された。

本作の音楽を担当するのはRonan "Mr. Sauceman" de Castel氏、ClascyJitto(Justice Condrington)氏、Post Elvis(Thomas Torres)氏。de Castel氏はフランス出身のマルチクリエイターで、ClascyJitto氏は本名の他にFrostixやRiZi名義などでも知られるアメリカ出身のクリエイターである。Post Elvis氏はアメリカ出身の作曲家で、インディーゲームへの楽曲提供を手がける傍ら、普段はヒップホップやファンクなどのジャンルでアルバムを出している。本作ではde Castel氏とClascyJitto氏が中心で作曲していて、Post Elvis氏の担当分は1曲に留まる。チップチューンはもちろん、サンプリングを取り入れたフレンチハウスやイタロディスコ風のものなど数多く幅広く取り揃えられている。脱出BGMなど繰り返し聴くテーマ曲には共通するライトモチーフがあり、曲数が多いなかでも一際存在感を放っている。サウンドトラックはSteamやBandcampなど各種デジタルストアで配信されている。

1階のボスであるPeppermanとの戦いで流れるのがこの曲である。最初のボスであり、その名の通り顔の付いた赤ピーマンである。ヘタの部分がベレー帽代わりなのか芸術家としての一面があり、見ていて鬱陶しくなるほどのニンマリ顔を浮かべている。そんな曲者との戦いを彩るにあたって、まずはリズミカルなチップチューンソロで始まるが、9秒過ぎからエレキギターが押し寄せて瞬く間に主役を乗っ取る。以降、一気に強気でエネルギッシュなロックナンバーへと変わる。18秒のオルガンのフレーズを境にボイスサンプリングを交えてますます怖いもの知らずの勢いをみせ、30秒にはラッパも参戦して隆盛を極める。しばらくはハードロック然とした印象を貫くが、ちょうど1分で再びレトロな電子音が聴こえるようになり、周囲の音色が騒がしく鳴るなかでもはっきり主張するメロディーを披露する。続けてオーケストラヒットを駆使したフレーズがあり、さらに1分20秒からは唐突にスピーディーなドラムンベースのような曲調に移る。やたら歯応え満載で肉厚な一曲である。

なんだか無性にピーマンの肉詰めが食べたくなってきたのですが、これを読んだあなたも今晩の献立にいかがでしょうか?