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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#115 『狂気の神々の城II 「Star shape」』(弘田佳孝/シャドウハーツ/PS2)

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サクノスがおくるRPGシャドウハーツより、

弘田佳孝作曲、『狂気の神々の城II 「Star shape」』。

浮遊城ネアメートの第二階層で流れます。

作曲家としても知られる菊田裕樹氏率いるサクノスのRPGクーデルカの精神的後継作にあたる本作。第一次世界大戦前の近現代を舞台に、モンスターの意識を取り込んでその能力を使役できるハーモニクサーの青年・ウルは、エクソシストの女性・アリスとの出会いを通じ、世界各地を旅することになる。異色な世界観と癖のあるキャラクターたちによって紡がれる、ホラーテイストでありつつもギャグ満載なシナリオが特徴で、ルーレット形式で戦闘の行動を決定するジャッジメントリングをはじめとする一風変わったシステムが採用されている。総じて斬新なセンスを持つ仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは岩田匡治氏、弘田佳孝氏、福田亮氏、光田康典氏の四名。このうち弘田氏は元サクノス所属の作曲家で、岩田氏は当時フリーランス、光田氏は音楽制作会社プロキオン・スタジオの代表、といったようにそれぞれ幅広いフィールドで活躍している精鋭揃いとなっている。なかでも弘田氏は、70曲以上にも及ぶ楽曲のうち、ゆうに50曲は作曲しているほど、本作のサウンドには欠かせない存在となっている。20世紀初頭のアジアと欧州のイメージにふさわしい、オリエンタルなものから壮大なものまで一通り揃っていて、独特な陰鬱さに包まれた世界観に見合ったダークな楽曲が多い。サウンドトラックには主題歌も含めて収録されていて、いずれの曲名も日本語の後に鉤括弧で英題が付くという独自のスタイルで統一されている。

ラストダンジョンの浮遊城ネアメート、その第二階層で流れるこの曲は、第一階層の環境音主体の禍々しい曲から一転、メロディアスな仕上がりになっている。闇に溶け込む低音のピアノに、ドラムの規則的な打音、きらきらと輝くトライアングルのリズミカルなビート、教会の鐘を彷彿させる厳かな音色が重なり、さらにサビで透き通るようなコーラスを加えることで、狂気的な神秘を演出する。コーラスは第一階層でもときどき環境音に混じって唐突に挿入されていたが、第二階層にて天にも昇る甘美な歌声を響かせることによって、心を揺さぶる美しさを誇る。

デカダンス塗れの19世紀末を終えて20世紀に入って、世界を震撼させる大戦を目前に控えた時期、その退廃的な空気感が、切なさと恐怖とともにこの曲で表現されていて、とても素敵です。第一階層の『狂気の神々の城I 「Nobody knocks the door」』、参考までにどうぞ。

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