Askiisoftがおくる2Dアクション・天国の塔より、
flashygoodness作曲、『Luna Ascension』。最終ステージで流れます。
アメリカのインディーゲームスタジオ・Askiisoftのデビュー作にして代表作であるフリーゲームにあたる本作。ゲームボーイを連想させる独特な色味とドット絵によるレトロスタイルなアートワークが特徴的な横スクロールアクションで、いわゆる死に覚え系の高難度なゲーム性を誇る。ステージごとに「左に移動するな」「金のブロックに触るな」などのシンプルかつシビアなルールが付され、通常のミス以外にもルールを破れば即死になるため、工夫を凝らしてステージを攻略していくことになる。気軽に挑戦できるやり応えたっぷりな仕上がりとなっている。
本作の音楽を担当するのはflashygoodness氏。フリーゲームを中心に手がけるアメリカ出身の作曲家で、Askiisoftの作品には本作以降も参加している。レトロなグラフィックにあわせて、本作ではこれまたゲームボーイ的な音源を再現したサウンドが揃っていて、一部の楽曲はそれに生のピアノの音色を加えている。サウンドトラックは氏のBandcampで購入者任せの任意の価格(無料でも有料でも取得できる)で配信されている。
ラストステージで流れるのがこの曲である。夜空を背景に外壁を上っていくシーンを、タイトル画面やエンディングの曲と共通した旋律を持つメインテーマアレンジでロマンチックに彩る。一点の曇りすら感じさせない伸び伸びとした主旋律に対し、はじめこそ伴奏が分厚い重低音を奏でるが、7秒から主旋律が高らかに響くのにあわせて華やかなアルペジオを披露する。14秒以降のメインフレーズでもアルペジオは健在で、曲全体で独特な哀愁を漂わせながら、明るく愉快で胸がすくような印象を与える。特に28秒~31秒頃などで主旋律の高音を鳴らし続ける傍らで、中音域あたりでリズミカルなリフを奏でる部分は、非常に小気味良い爽快感を醸す。シリアスな空気を感じさせつつ、とても気持ち良い清涼感に満ちた一曲である。
シチュエーション、曲調、そして曲名からして、なんとなく洞窟物語の『つきのうた』に似た何かを彷彿させる……ような気がします。thytimes.hatenablog.com