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#062 『帰路』(小林美代子・曳地正則/天地創造/SFC)

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クインテットがおくるアクションRPG天地創造より、

小林美代子・曳地正則作曲、『帰路』。エンディングで流れます。

ソウルブレイダーやガイア幻想記に続くアクションRPGの三部作として登場した本作。地表と地裏の二つに分かたれる世界で、地裏唯一の村であるクリスタルホルムに暮らす主人公・アークは、村の掟を破ってパンドラの箱を開けてしまい、封印が解かれたことにより石化してしまった村人たちを救うべく、失われた天地を再生させる旅に出ることになる。聖書を下敷きにした壮大な天地創造物語が特徴で、人や動植物や大陸を復活させていく傍ら、多種多様なアクションを使いこなして謎解きをしたり、都市の再興を目指して街づくりをしたりもできる。スーファミ最高水準とされる美麗かつ臨場感あふれるグラフィックと相まって、奥深い魅力に満ちた仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは小林(現姓は高岡)美代子氏と曳地正則氏。いずれも当時クインテットに所属していた作曲家たちである。本作では、気の遠くなるような果てしない旅を彩るにあたり、グラフィックと同様にスーファミの性能を最大限にまで引き出した高品質のサウンドが揃っていて、神話の世界を彷彿とさせる神秘的な曲調のものが多い。サウンドトラックは一部の楽曲を収録したものが存在するが、未収録のものが半数近く占めている。

エンディングで流れるのがこの曲である。クリスタルホルムで流れる『帰るべき所』(作曲は小林氏)のアレンジで、笛やハープの幻想的な音色を駆使した旋律で冒険の終わりを穏やかに彩る。曲とともに映し出される映像は、鳥になって世界を一周する夢を見るという内容で、音と映像の相乗効果で非常に儚い印象を与える。特にコーラスが本格的に参戦する2分50秒以降は息をのむほど美しく、その神秘的なメロディーラインが力強くも繊細な響きを生み出す。全編を通して柔らかい癒しに満ちた、故郷のような懐かしさと温もりを感じさせる一曲である。

安寧に満ちているけれど、同時にとても切なくて、いかにもエンディングらしい理想的な終わり方ですね。『帰るべき所』もあわせてどうぞ。

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