ネバーランドカンパニーがおくるファンタジー生活シミュレーション・
ルーンファクトリーより、森田朋子作曲、オーシャンズの『神聖な風』。
風の精霊殿で流れます。
牧場物語の派生作として、ファンタジー色の強いRPG要素を加えて登場したルーンファクトリーシリーズのうち、フロンティアに次ぐ据置機2作目にあたる本作。人間と精霊とモンスターが共存する世界を舞台に、精霊魔法の使い手・アゼルと幼馴染の少女・ソニアは、突如謎の光に包まれて見知らぬフィーニス島へと召喚され、島での暮らしと冒険と恋愛を満喫することになる。初となる男女選択制の主人公を採用しているが、メインストーリー中は一緒に行動し、エンディング後にどちらかを選択するというやや特殊な仕様である。また、肝となる農作業は仲間のモンスターに世話を任せるようになり、手間は省けるが、従来の生活スタイルとはだいぶ異なる形に仕上がっている。総じて意欲的な要素の多い出来栄えとなっている。
本作の音楽を担当するのは森田朋子氏。当時ネバーランドカンパニーに所属していて、ルーンファクトリーシリーズのサウンドは初代から全曲単独で作曲している作曲家である。歌ものに関しては沖縄出身の気鋭のアーティスト・CHI-KA氏がボーカルを務めている。シリーズおなじみ、牧場経営とRPGという異色の組み合わせにふさわしい、牧歌的なものからヒロイックなものまで、色とりどりの楽曲が揃っている。サウンドトラックは未発売だが、後に発売された4の蓄音機で過去作のBGMを聴くことができる。
各地に点在する精霊殿は、多彩な仕掛けが待ち受ける広大なダンジョンである。そのうち最も攻略難易度が高い風の精霊殿にて流れるこの曲は、ラストダンジョン特有のシリアスな雰囲気を目一杯表現した一曲である。静謐なピアノのイントロから始まり、ゆったりと伴奏するストリングスは、心地良く響き渡るギターの音色が加わると、一気に焦燥感たっぷりなメロディーを奏でる。1分手前でようやく主旋律がスタートすると、寂寞とした笛の音が悲壮な使命感を滲ませ、さらに間奏を挟んで同様のパートをストリングスが演奏した後にやってくるサビでは、笛とストリングスのアンサンブルが切羽詰まった空気感を漂わせている。
ラストダンジョンのエッセンスがぎゅっと詰まった緊迫した音使いがたまらないです。