VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#394 『DECISIVE』(荒川憲一/DRAGON SEEDS - 最終進化形態 -/PS)

www.youtube.com

ジャレコがおくるドラゴン育成シミュレーション・ドラゴンシーズより、

荒川憲一作曲、『DECISIVE』。Aランクマッチなどで流れる戦闘曲で、

通称『Battle on the Holy Plane』または『Battle on the Plane of Holy』で知られる。

ドラゴン育成に焦点を当てた作品として登場した本作。最強のドラゴンを決めるワールドドラゴンチャンプでの優勝を目指して、自分好みにドラゴンを育てて戦わせる本作。ドラゴンと一口に言っても昆虫や蟹や果てには美少女のような姿をしているものもいるなど、ひとまとめに太古から蘇りし超生物として扱われているのが特徴である。単語を繋げて言霊を組み合わせることにより、個性豊かなドラゴンを生み出すことができる。ドラゴンは進化を通じて強化されるが、戦闘に負けたり寿命に達したりするとロストするシビアなシステム設計で、シンプルだが戦略性の高い仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは荒川憲一氏と山﨑良氏。いずれも当時ジャレコに所属していた作曲家たちで、効果音なども含めてサウンド全般に携わっている。本作は基本的にファンタジーでありながら、クローン再生技術が確立していたり生死の概念が大胆に取り入れられたりする、一風変わった作風となっていて、それに合わせて本作の楽曲は癖のある民族音楽調のものが多い。サウンドトラックは長らく存在せず、曲名について俗称が広まっていたが、2016年にはクラリスディスクから待望の音源化がなされた。

開始直後のチュートリアル戦闘含め、Aランクマッチなどいくつかの戦闘シーンで流れるのがこの曲である。イントロから荒ぶるボイスと煌びやかな鉄琴が力強く響くことで、奇妙に中毒性のある幻想的な雰囲気を漂わせる。15秒で声に代わって主旋律が入ると、奇抜な印象は一旦鳴りを潜めるが、非常に耳馴染みする心地良い旋律を奏でる。要所要所にシャープなエレキギターを轟かせることで、人情味あふれるフォークサウンドと野性味あふれるロックサウンドが見事に融合している。特に50秒頃からのサビは、主旋律の気持ち良さはさることながら、鉄琴の独特な響きやギターの荒くも美しい伴奏と相まって、非常に没入感のある聴き心地を生み出す。1分19秒で再び声が加わると、またひとしきり心奪われるような野生の神秘を感じさせる。本作の独自性を丸ごと体現したかのような、魔術的な陶酔感を誇る一曲である。

サントラにはボーナストラックとして荒川さんのセルフアレンジである『DECISIVE(2016ver.)』も収録されています。良アレンジなのであわせてどうぞ。

www.youtube.com