ウエストンがおくるアクションRPG・ワンダーボーイモンスターランドより、
坂本慎一作曲、『Dragon's Castle』。ドラゴンの城で流れます。
アーケード用横スクロールアクション・ワンダーボーイの第2作目として登場した本作。モンスターに支配された世界で、ブック少年が悪の化身たるドラゴンを討伐する冒険の旅に出かけることになる。王道なRPGのシナリオにアクションの醍醐味を付け加えた斬新なゲーム性が、80年代当時は非常に画期的なものとして人気を集めた。本作は純粋な移植のみならず、ビックリマンや西遊記などにキャラの差し替えをおこなったうえで移植されていて、セガエイジズやバージャルコンソールの一環として復刻版も配信されているなど、移植が多岐にわたる。
本作の音楽を担当するのは坂本慎一氏。当時ウエストンに所属していた作曲家で、それ以前にはテーカン(テクモ)やNMKなどにも所属していた。氏はアーケードゲームの黄金期のサウンドを支えた作曲家の一人であり、音楽以外にもプログラマーやディレクターとして様々な仕事に携わっている。本作の楽曲は、オーソドックスなRPGらしい勇壮でファンタジックな作風のものが多い一方で、全11面からなるステージクリア型の2Dアクションであるという特性上、いわゆる宿があって街があって、というような一般的なRPGのイメージとは異なる曲の使われ方がされている点が特徴的である。往年の名作ということもあり何度も音源化されているため、サウンドトラックには事欠かない。
ドラゴンの城で流れるのがこの曲である。ドラゴンの城は全11面のなかの最終面で、これまでのどのエリアよりも長くて複雑な構造のステージである。正しい手順を踏まないと先には進めない仕組みになっているため、攻略に時間がかかりやすいが、そこで流れるこの曲は、クライマックスの重要な局面で中弛みすることのないキャッチーで耳馴染みする旋律を奏でる。前半は低音の多いフレーズを、後半は高音の多いフレーズを用いることで、音数のすくなさを補って余りある迫力を生み出している。最終決戦に向けて力強く盛り上げてくれる一曲である。
当時のウエストンの開発環境では機材が揃っていなくて、作曲する際は手書きで譜面に起こしていたそうですね。