VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#966 『Too Fast』(長沼英樹/Ollie King/AC)

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セガがおくるスケボーアクションレースゲーム・オーリーキングより、

長沼英樹作曲、『Too Fast』。京都ステージで流れます。

スケートで駆け巡って街中にグラフィティを描き回るストリートアクション・ジェットセットラジオ(JSR)の開発チームによるアーケード用レースゲームとして登場した本作。サンフランシスコ・ロンドン・京都を舞台に、6人のキャラから一人を選んでスケートボードでレースすることになる。スケボーを模した筐体で、ボードの後ろを踏めばジャンプ、左右に傾ければターン、前と後ろを交互に素早く踏むなどのテクニカルな動きをすればトリックを決められる。JSR譲りのファンキーでダイナミックな世界観とグラフィックが特徴で、直感的な操作でダウンヒルの多いステージを颯爽と駆ける疾走感を味わえる。エクストリームスポーツならではの派手さとノリを誇る仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは長沼英樹氏。JSRシリーズの作曲でもおなじみの、当時セガに所属していた作曲家である。本作ではJSRのファンクやソウル、ヒップホップ系サウンド(いわゆる長沼サウンド)を踏襲しつつ、とりわけスケボーが盛んだった70年代を意識したグルーヴィーなパンクミュージックが揃っていて、曰く「やんちゃなガキ達が聞いてワーッてバカ騒ぎできるような」個性的な楽曲が堪能できる。サウンドトラックにはJSRのリミックスなどの未使用曲も含めて収録されている。

京都ステージで流れるのがこの曲である。冒頭からけたたましく響き渡るエレキギターの旋律が印象的で、随所にデジタルボイスなども加えながらスピーディーに展開していく。風情のある都としての京都のイメージを根底からひっくり返すようなド派手なデジロックに仕上がっていて、まるで乱痴気騒ぎを起こしているかのような荒々しさに満ちている。40秒過ぎや1分10秒あたりで、特徴的な音声とともにテクノっぽい色味を帯びたフレーズをフィーチャーし、全体的にエキセントリックでありつつソリッドな作風をも漂わせる。スケボーで疾駆することによって得られる陶酔感を加速させるような一曲である。

本人談で「悪ガキたちが聴いていてアドレナリンがドバドバ飛び出すような曲、という依頼を受けて制作しました」とのことですが、オーダー通りでさすがですね。京都といえば、元は京都用だった没曲の『Brother Goes Away』もセンス抜群ですので、あわせてお聴きください。あと、曲解説のページが面白いのでぜひどうぞ。

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