VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1023 『Menu』(Matti Tuomela/Trials HD/X360)

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RedLynxがおくるモトトライアルゲーム・Trialsより、

Matti Tuomela作曲、HDの『Menu』(仮称)。メニュー画面で流れます。

バイクを駆って高低差や凹凸の激しいコースを走り抜ける競技・モトトライアルを題材としたTrialsシリーズのXBLA向けタイトルとして登場した本作。練りに練られた物理演算による緻密な挙動に注意しながら、ゴールを目指してエクストリームなコースの数々を攻略することになる。操作はアクセル、ブレーキ、前後の体重移動のみとシンプルだが、コースは歯応えしかないうえにどんどん難しくなっていく。タイミングが命取りでひたすら試行錯誤を重ねる、レースというより死に覚え系のアクションに近いつくりで、他プレイヤーのリプレイを閲覧したり、エディター機能で自作のコースを作成したりすることも可能である。リトライの手軽さも相まって黙々と挑戦し甲斐のある仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのはMatti Tuomela氏。RedLynxに所属するフィンランド出身の作曲家である(なお、RedLynxはUbisoft傘下のフィンランドの開発会社である)。Trialsシリーズは元々JavaFlashなどで展開するブラウザゲームで、Tuomela氏は商業化されたTrials 2 Second Edition以降に携わっている。徹底的にストイックな作風にあわせて、本作では重めのギターが効いたロックやメタル、ジェントなどのジャンルの楽曲が揃っている。サウンドトラックは未発売のため、曲名は便宜上の仮称とする。

モードやコース、バイクなどを選択するメインメニュー画面で流れるのがこの曲である。短いフレーズの反復を軸に据えた、ダウナー感漂う抑圧されたベースギターが印象的で、4秒・8秒などでみられるように2小節ごとに奇妙な効果音が響くことで、暗めの曲調だが不思議なノリの良さを生み出す。19秒からはドラムスも加わり、小気味よいビートを刻むが、しばらくすると姿を消し、またしばらくするとループを経て戻ってくる。曲全体に押さえつけるような重厚感が漂うが、それでいて同時に奮起を促すような硬派な昂揚感を秘めた一曲である。

無限に聴いていられますね。徹底抗戦したいときに最適です。