VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1360 『おみせ』(本山淳弘/くるりんスカッシュ!/GC)

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エイティングがおくるアクション・くるりんスカッシュ!より、

本山淳弘作曲、『おみせ』(仮称)。おみせで流れます。

ヘリリンと呼ばれる細長い棒を操作して狭いステージを踏破するくるりんシリーズの3作目にあたる本作。今度のクルリンは、福引で当たった家族旅行を満喫して帰ってくるも、弟妹たちがいなくなっていることに気付き、旅行先に逆戻りしてみんなを捜すことになる。これまでGBAで展開してきたシリーズとしては初となる家庭用機向けの作品である。実際の操作は2Dのままだが、グラフィックは3Dを取り入れていて、いっそうファンシーでカラフルな雰囲気が強まった。5ワールド×8ステージの全40面構成で、本作では各ワールドの最後にボス戦がある点が目新しい。これに伴い、通常の自機に加え、パンチを繰り出せるものや炎を噴射できるものなど、道中のギミック攻略にも対決にも役立つ特殊な自機が登場するようになった。全体のボリュームはさくっとコンパクトだが、タイムアタックや4人対戦用のミニゲーム、すごいおてほんという上達の参考となる映像の収録など、対抗心やチャレンジ精神をそそるやり込み要素も揃っている。相変わらず愉快で奥深い仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは本山淳弘氏。エイティング製の作品には馴染み深い作曲家で、とりわけくるりんシリーズには欠かさず参加している。前作まではGBA音源だったが、本作ではハードの移行に伴って家庭用機水準のヴィヴィッドな音色を出せるようになった。ポップでメルヘンチックでときどきシリアス、というシリーズサウンドの方向性を踏襲し、本作でもシンセやフルート、スチールパンなどをふんだんに取り入れた耳当たりの良い楽曲が揃っている。ワールドの前半と後半で曲が変わるほか、本作でボス戦が導入されたため、楽曲のなかには一転してクールでシャープな雰囲気が漂うものもある。サウンドトラックは未発売のため、曲名は便宜上の仮称とする。

おみせで流れるのがこの曲である。ステージセレクト時に各ワールドの端にあり、ステージ内で拾ったコインと引き換えに、サポートアイテムや自機の見た目変更、すごいおてほんなどを入手することができる。フルートを主軸に据えたリラックス感満点のボサノヴァナンバーで、非常に心地良く入り浸って聴き浸ることができる雰囲気を生み出している。主旋律の親しみやすさはもちろんのこと、4~5秒や7~10秒など各フレーズの後半に後追いで奏でられる音色が絶妙な煌めきを添えている。なかでも5秒、10秒、15秒など節目節目でカッカッと鳴るウッドブロックの乾いた打音は一際清々しい響きを帯びている。1ループ20秒とかなり小粒だが、いつまでも聴き飽くことなく楽しく軽やかな気分が持続する一曲である。

ルンルンしますね。スノースケープの前半曲とかも好みです。あわせてどうぞ。

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