スカイ・シンク・システムがおくるシューティング・ハームフルパークより、
澤仁史作曲、『1面ボス』（仮称）。1面のボス戦で流れます。
くるりんPA!シリーズで知られるスカイ・シンク・システム製のオリジナル作品として登場した本作。開園したてで大盛況の遊園地・ハートフルパークを舞台に、突如として建造者のDr.テキーラが遊園地を核にも耐えうる未知の合金で要塞化したことを受け、テキーラの元助手で合金の分解方法を知る科学者・カシスは、唯一の対抗手段であるロボバイクを娘のレスカとレモネに託して出撃させることになる。全6面構成の横スクロールシューティングで、遊園地を舞台にしているだけあって攻撃手段もステージデザインも道中の敵も非常にカラフルでコミカルである。武器は4種類、ポテトを撃つ通常弾、アイスクリームのレーザー、遅いが強力なパイ投げ、ゼリービーンズのホーミング弾がある。これらはいつでも切り替えられ、それぞれ4段階まで強化可能である。武器ごとに異なる特殊攻撃が用意されていて、サツマイモのボムやパフェの極太レーザーなど見た目や威力が愉快であるうえに、その性能も場面別に活きるバランスに調整されている。背景の描き込み、充実したギャグ要素、多人数対戦に対応したおまけのミニゲームなど、とにかく芸が細かく上質にまとめられている点が魅力である。遊び心と面白さのツボを押さえた仕上がりとなっている。
本作の音楽を担当するのは澤仁史氏。担当作品がすくなくあまり詳しい情報は明かされていないが、くるりんPA!シリーズも含めてスカイ・シンク・システム製の作品には欠かさず参加していた作曲家である。本作ではチャーミングでユーモラスな雰囲気に見合ったバラエティ豊かなサウンドが揃っている。お化け屋敷からアスレチックな動物園まで、おどろおどろしいものもあれば底抜けに明るいものもあり、遊園地のアトラクションごとにふさわしい曲調を楽しむことができる。また、ボス戦のBGMも工夫に富んでいて、結婚行進曲が流れたり雑多な声が聞こえてきたりするなど、作中の演出とあわせて大いに盛り上げてくれる。サウンドトラックは未発売のため、曲名は便宜上の仮称とする。
1面ボスのエヘラ戦で流れるのがこの曲である。空気で膨らませた恐竜型の遊具で、愛らしい見た目とは裏腹に火炎放射機やバルカン砲を搭載している。鍵盤ハーモニカによる朗らかなイントロで、初めこそいかにも無害そうで純真な雰囲気を漂わせるが、7秒からは短音階に移ってやや暗めで不穏な響きを纏うようになる。機が熟したところで12秒でブツリと切ると、以降はSFチックなテクノナンバーへと大変身する。ちょうど作中でもイントロが終わるのと同時に空気を入れ終えてボスが動き出すため、完璧にシンクロする気持ち良さと曲調が急変するギャップの双方を一挙に味わうことができる。冒頭のインパクトの強烈さはさることながら、26～28秒で一際クールな音階を披露したり、52～56秒で非常にリズミカルで聴き心地抜群な間奏を挿入したりするなど、各所に耳に残るフレーズが散りばめられている。愛嬌と迫力を兼ね備えた一曲である。
コンセプトの良さに曲の良さがしっかり噛み合っていて、非常にセンスありますね。
