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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1437 『JF1-W3 今日は遊園地』(見良津健雄/ジャンピングフラッシュ!/PS)

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SCEがおくるハイジャンプアクション・ジャンピングフラッシュより、

見良津健雄作曲、『JF1-W3 今日は遊園地』。ワールド3-1で流れます。

PS初期のアクションゲームとして登場した本作。宇宙の彼方で悪の科学者・アロハ男爵に切り取られた大陸を取り戻すべく、うさぎの形をした万能型害虫駆除マシーンのロビットが出動することになる。3D空間で空高く飛び跳ねる楽しさを追求したゲーム性が特徴で、最大3段までジャンプ可能な自機を操作して全6ワールドを攻略していく。各ワールドは通常ステージとボスステージの計3面から成り、前者はステージ内に散らばるニンジン型のジェットポッドを集めてゴールを目指し、後者はジャンプ力を活かして個性豊かなボスと戦うことになる。一人称視点で操作は十字キーのみで、ジャンプの段階ごとに視界が変わって入力タイミングがシビアになり、さらにはビームや各種特殊兵器を撃つシューティング要素も含まれるなど、一見すると小難しい印象があるが、直感的で丁寧なつくりであるため全体的な難易度はむしろ易しめである。はじめのうちは操作と空間把握とアクションに慣れを要するが、次第に目まぐるしく飛び跳ねる快感を堪能できるようになる。総じてカジュアルでエキサイティングな仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは故・見良津健雄氏。当時、音楽制作会社メロネストに所属していた作曲家で、主にアーティストへの楽曲提供を手がけていた。ゲーム方面では本作が代表作であり、本作以前にも主題歌の提供やサウンドトラック用のアレンジなどを通じて一部の作品に携わっていた。本作の能天気な作風を捉えつつ、宇宙を舞台にしたクールな雰囲気を表現するにあたって、親しみやすく爽快なシンセサウンドが多く取り揃えられている。ワールドごとにメインテーマがあり、同一ワールド内の各ステージで流れる曲はボス戦も含めてそのアレンジを用いている。サウンドトラックについては続編の2とあわせて収録したものが存在し、曲名の冒頭には作品名の略称と使用箇所が明記されている。

ワールド3-1で流れるのがこの曲である。遊園地を舞台とするステージで、立派なお城、足場として使える気球、飛び上がるのに役立つ送風機など、見た目も仕掛けも充実している。そうしたなか、裏拍を使って冒頭からノリやすく底抜けに愉快な雰囲気を生み出している。5秒で大仰にラッパが鳴り、ビッグバンドに通ずるような躍動感をみせつけた後、7秒頃から木琴の主旋律が加わる。曲全体を通してとにかく身も心も弾む響きに満ちていて、自機の性能やステージ内のギミックと相まって文字通り天高く舞い上がる感覚を味わえる。40秒頃から木琴の代わりにシンセが主役を務めるようになるとますます爽やかな気分に浸らせてくれる。ラッパの使いどころが絶妙で、基本的には伴奏で周期的に低音を鳴らし続けているが、46~47秒で折よく合いの手を入れたり、54~55秒で綺麗にフレーズを締め括ったりして独自の存在感を放っている。1分11秒からは笛のような音色が入っていっそう伸びやかな印象を強め、続けて1分28秒からはフィドルが陽気な演奏を繰り広げる。遊園地に来たからにはとことん羽を伸ばして跳ね回るぞ、というお茶目な意気込みを感じさせる一曲である。

こういう超絶ハッピーな曲は清涼剤みたいなものでときどき聴きたくなります。ワールド3-2はハッピーだけど適度な落ち着きがあって気持ち良く、3-3のボス戦はエレキギターを用いたロックアレンジだけど相変わらず茶目っ気満点です。あわせてどうぞ。

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