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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1059 『空の灯台』(藤田晴美/迦楼羅王/SFC)

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浮世亭がおくるアクション・迦楼羅王より、

藤田晴美作曲、『空の灯台』(仮称)。空の灯台で流れます。

インド神話をモチーフにしたアクションゲームとして登場した本作。魔族の王・ラバーナを復活させるための生贄として攫われた娘・ビシュヌを取り戻すべく、主人公の青年・迦楼羅(カルラ)は立ち向かうことになる。世界観こそ少々独特だが、中身は非常にオーソドックスな横スクロール型のアクションで、三つの大陸に点在するギミック豊かなステージをジャンプや必殺技を駆使して攻略していく。通常のステージのほか、強制スクロールで空を飛ぶステージや、大陸間を移動する際に挟まれる手前から奥へと進む3Dステージなど、多種多様なステージ群が用意されている。見た目も攻撃手段も個性的なボス戦や、触り心地の良い操作性などと相まって、堅実にまとまった仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは藤田晴美氏。フリーランスの作曲家である。本作は氏がカプコンを離れてフリーになってから担当したもののうち、初期の作品に該当する。東洋の作風を表現するにあたって、本作ではシタールやタブラと思われる楽器を用いたオリエンタルな楽曲が揃っていて、すこし癖はあるが味わい深いサウンドを堪能できる。サウンドトラックは未発売のため、曲名は便宜上の仮称とする。

空の灯台で流れるのがこの曲である。序盤の山場であり、塔の外壁では螺旋状に配置された足場にジャンプして乗り移りながら上を目指し、塔の内部ではトゲの多い空間を進ことになる。そうした場面を彩るにあたって、はじめはストリングスやシンバルが目立つスタンダードなオーケストラ調だが、8秒からメインフレーズが入ると、瞬く間にうねりの効いた独創的な雰囲気を醸す。神秘的な響きを帯びたシタールの音色はもちろん、伴奏の弦楽器がせわしなく音階を上り下りすることで、ざわつくような緊張感を生む。シタールの見せ場となる22~30秒頃でさらに派手に盛り上がり、たっぷりと異国情緒を漂わせた後、再びメインフレーズを奏で、間もなくループに突入する。1ループ37秒という短さのなかに魔法のような昂揚感を詰め込んだ一曲である。

とても味のある曲ですね。この曲のほかには、ワールドマップや各地の祠などで流れる曲も、短い尺のなかに異国情緒を凝縮していて素敵です。あわせてどうぞ。

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※追記 作曲家ご本人によってこの曲を作った当時のオリジナルバージョンがアップされてますので、そちらもぜひお聴きください。

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