VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1124 『Alone Infection』(石渡太輔/GUILTY GEAR -STRIVE-/PS4・PS5・PC)

www.youtube.com

アークシステムワークスがおくる対戦型格闘ゲームギルティギアより、

石渡太輔作曲、STの『Alone Infection』。ファウストのテーマとして流れます。

ハイスピードな試合展開と個性派揃いのキャラが特徴のギルティギアシリーズのうち、Xrdに続く完全新規シリーズとして登場した本作。魔法の理論化に伴って生み出された生体兵器・ギアをめぐる壮絶な戦いが続く世界を舞台に、賞金稼ぎのソル・バッドガイは、ギアをつくった「あの男」が米国政府に投降したと聞き、その真意を探るべく立ち上がることになる。コンボの繋げ方や操作方法の一新、ガードやロマンキャンセルをはじめとするアクション面の仕様変更、一撃必殺技の廃止など、これまでのシリーズで当たり前になっていた部分を徹底的に見直し、よりシンプルに、なおかつスピード感や奥深さを維持しつつ各要素を再構成している。グラフィックや演出、キャラデザインといった美術面は一段と強化され、アニメ風の豪快なビジュアルのもとで戦闘を繰り広げることができる。シリーズらしさを形作る要素を大胆に取捨選択し、システムや全体的な触り心地を刷新した意欲作に仕上がっている。後にアーケード版が稼働開始した。

本作の音楽を担当するのは石渡太輔氏と滝澤俊輔氏。石渡氏はアークシステムワークスに所属するクリエイターで、本シリーズのゼネラルディレクターとして開発全般に関わっている。滝澤氏は音楽制作会社TRYTONELABOに所属する作曲家で、GGシリーズには本作以前にもXrdのCS版を担当したことがある。本作では石渡氏が各種キャラのテーマ曲を、滝澤氏がストーリーモードの劇伴を中心に作曲している。本作のサウンドはこれまでのハードロック・ヘヴィメタル路線を踏襲しつつ、ゲーム全体が大きく方向転換したのに合わせて、キャラのテーマ曲を新しく作り直してすべてボーカル入りになっている。歌詞はキャラの背景や主張を反映しているとのことで、歌唱はNAOKI氏やAISHA氏らが手がけている。サウンドトラックについては、限定盤に一部楽曲を収録したデジタルサントラのコードが付属されていたほか、通常販売のOSTも存在するが、新キャラ参戦など本編が継続的にアップデートされていることから未収録曲もすくなくない。

ファウストのテーマとして流れるのがこの曲である。紙袋を被った超長身の闇医者で、長い手足とメスを活かしたリーチの長さと、ランダムでアイテムを取り出すトリッキーな戦い方が特徴である。言動含め奇抜な雰囲気を持つファウストを表現するにあたって、イントロから好戦的に響くエレキギターが印象的で、13秒からボーカル(唄:NAOKI)が加わると、激しく叫ぶような勢いを感じさせる。33秒になると叫ぶ代わりに耳元で囁くような歌い方をし、しばらく独特な焦燥感を漂わせるも、"Messiah"という単語を皮切りに荒々しさを取り戻す。散々叫んだ後、サビではそれまで溜め込んできた感情を解放するかのように伸び伸びとした歌声を披露する。サビを終えると再び曲冒頭から似たようなフレーズを繰り返すが、以前は囁き声で歌っていた部分が、今度はやけに陽気な歌い方をするようになるなど、変幻自在な工夫を凝らしている。二番目のサビの後、Cメロでは一転して穏やかな曲調に様変わりし、そこから徐々にオーケストラを伴って明るく華やかに盛り上がっていく。前半は狂気染みた荒さを、後半は前向きな明るさを感じさせる波乱万丈な一曲である。

この曲を紹介してほしいというリクエストをいただきました。目まぐるしい曲ですね。