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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1215 『運命の小道』(松尾早人/不思議のダンジョン 風来のシレン5 フォーチュンタワーと運命のダイス/NDS)

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チュンソフトがおくるダンジョンRPG風来のシレンより、

松尾早人作曲、5の『運命の小道』。運命の小道で流れます。

※単曲動画が見つからないため、10分延長版ですが、2ループで止めてます

ローグライクダンジョンRPG風来のシレンシリーズのナンバリング5作目にあたる本作。風来人のシレンとイタチの相棒・コッパは、山奥の里に伝わる運命神リーバとフォーチュンタワーの伝承を聞き、仙境に聳え立つ塔に挑むことになる。昼夜の概念や武器の成長をはじめとする前作までのゲーム性やシステムの多くを踏襲しつつ、本作では新たに、既存のアイテムに効果を付与して自作のアイテムをつくる新種道具や、敵を一定数倒すことでシレンが覚醒状態となり強力なバフを得られるスーパーシレンなどの新要素が加わった。DSの通信機能に対応していて、すれちがい通信で新種道具を交換し合ったり、ワイヤレス通信で二人で対戦または協力してダンジョンに挑戦したりすることができる。有用なアイテムや新技が増加し、前作からゲームバランスが見直されたことで、全体的な難易度は厳しすぎずぬるすぎずな匙加減で調整された。クリア後含めダンジョンの数が充実しているほか、UIの改善、やり込み要素や便利機能の拡充なども図られていて、遊びやすさと遊び応えを両立した仕上がりとなっている。後にVitaやスイッチ、Steam、スマホ向けにパワーアップ移植された。

本作の音楽を担当するのは松尾早人氏。音楽制作会社イマジンに所属する作曲家で、シリーズにはGB2以降から携わっている。前作までは過去作からの流用という形ですぎやまこういち氏による作曲が含まれていたが、本作ではすべて松尾氏の作曲となった(過去作からの流用自体は引き続き存在するが、収録された流用曲はいずれも松尾氏の作曲である)。本作では冒険の舞台が中華寄りの東洋な雰囲気であることを受けて、竹笛といった素朴でオリエンタルな音色を駆使した楽曲が揃っている。また、移植版では音源が異なり、アレンジされたうえで作中にBGM図鑑というサウンドテスト機能が搭載された。サウンドトラックについては、予約特典として一部楽曲を収録したものが付属されていた。

運命の小道で流れるのがこの曲である。チュートリアル後に訪れる最序盤のダンジョンで、フォーチュンタワーの入口へと至る玄関口である。独特な寂寥感と使命感を帯びた尺八の音色が印象的で、さながらしゃっくりのように急な高音を響かせるストリングスのリズミカルな合いの手がうまく緊張を煽る。主旋律も伴奏もどちらも音を短く区切って鋭く鳴らすことで、切羽詰まったような焦燥感と、冒険心をそそるような躍動感を生み出す。27秒からは尺八と弦が役割を交代し、伴奏に移っても相変わらず尺八は歯切れ良く響く一方で、弦の主旋律は長めになだらかに響く。40秒でミステリアスな間奏を奏でると、今までも存在感はあったが、今まで以上に打楽器の特徴的なリズムが強調される。54秒以降はマンドリンに似た撥弦楽器が鮮やかな演奏を繰り広げ、その後は尺八と弦がダブルで主旋律を務めて同じメロディーをなぞることで力強く盛り上げる。1分14秒には一定間隔で短く区切った音を何度も鳴らすという、非常に耳に残るフレーズを奏で、ループ直前になると今度は長々とストリングスの和音を鳴らすという、またしても印象深いフレーズを披露する。一音一音すべてに聴かせどころが詰まった一曲である。

これは好みど真ん中ですね。移植版の音源も素敵ですが、個人的にはDS音源特有のこの絶妙に発展途上だからこそ表現力が引き立つ感じがたまらないです。

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