VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1316 『BGM1』(古川とも/ダーウィン4078/AC)

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データイーストがおくるシューティング・ダーウィン4078より、

古川とも作曲、『BGM1』。1面や最終面をはじめとする複数のシーンで流れます。

奇抜な作風で知られるデータイースト製のアーケード用縦スクロールシューティングとして登場した本作。全16面構成で、8方向レバーと対地・対空レーザーを使いこなして進めていく。本作の特徴は、敵機撃破の折に出現するエネルギー生命体・evolを取得すると自機が進化する点で、形態に応じて自機の見た目・サイズ・移動速度・攻撃性能が変化する。基本的には進化するたびに強くなるが、サイズが大型化することで当たり判定も大きくなったり、形態によっては扱いに癖があったり、特定条件でさらに癖の強い突然変異が起きたりするなど、一般的なパワーアップシステムとは異なる独自性が感じられる。加えて、被弾や時間経過によって退化する(特に被弾時は一気に最弱形態へ戻される)が、形態が遷移する間は一時的に無敵になれるほか、退化を経由しないと辿り着けない形態も存在するため、退化と一口に言っても必ずしも不利に働くものではない。進化・退化・突然変異を用いた多彩な立ち回りで敵を圧倒する感覚を味わえる一方で、前述の当たり判定の拡張や被弾のペナルティから窺える通り、油断すればむしろ敵に圧倒されるシビアなバランスを持つ。意欲的なゲームデザインが印象的な仕上がりとなっている。後にMSX2に移植されたほか、アーケードアーカイブスの一環としてPS4やスイッチでも配信された。

本作の音楽を担当するのは古川とも氏。当時データイーストに所属していたゲームクリエイターである。厳密には所属していたというよりは入社テストを兼ねて本作を制作したらしく、企画からレベルデザイン、グラフィック、サウンドまで大部分を手がけたようである。本作では奇妙な躍動感のあるミニマルな楽曲が揃っている。総曲数が限られているため、メインの道中曲は複数のシーンで使い回されているが、繰り返し聴かせるにあたってワンフレーズ終えるたびに曲の特定のパートのキーが上昇する。サウンドトラックについては、同時期の作品群とあわせてデータイーストレトロゲームミュージックコレクションのなかに本作の楽曲が収録されている。

1面や最終面をはじめ、全16面のうちの半数近いシーンで流れるのがこの曲である。本作の顔のような曲で、短い間隔で弾むような調子で鳴る音色がやたらと耳に残る。リズム感や音の鳴らし方から受ける印象は、軽快で陽気であると表現することもできるが、それとは別にどこか謎めいた響きが染みついているように感じられる。14秒頃からしばらくの間、はっきりと旋律らしい旋律が奏でられると、勇ましいようでやはりわずかに寂寥感を帯びている。28秒で再び冒頭のフレーズに回帰するが、新たに副旋律としてすこし長くゆとりのある音色を紡ぐパートが加わる。これに伴って、前半と比べてそう大きく聴き心地が変わらないなかでも、たとえばフレーズ終わりの26~28秒と55~58秒とでは音程もメロディーも微妙に異なる。何か予測不能な味わい深さがある一曲である。

この曲を紹介してほしいというリクエストをいただきました。キーが上昇する様子も分かる音源を探しましたが、ちょっとプツプツとノイズが入っててやや聴きづらいかもです。あと作曲家ご本人がセルフアレンジしたものもあるようなので、あわせてどうぞ。

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