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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1309 『九泉に響く鬼哭』(Mimaki SiON/雪晶石 -Malice Eater-/PC)

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Project Noiseがおくる結瘴弾幕シューティング・雪晶石より、

Mimaki SiON作曲、『九泉に響く鬼哭』。4面で流れます。

初期の東方Projectで知られる同人サークル・Amusement Makersの支流であるProject Noise製の第1弾にあたる本作。雪深い最果ての大地を舞台に、冷気と妖から人々を守る結界の効力が弱まってきたことを受け、精霊術師の少女・神﨑雪希と妹の北封師・時雨が立ち上がることになる。全4面+ラスボス戦(特殊条件でエンディング分岐)から成る弾幕系の縦スクロールシューティングで、性能および語られる物語が異なる二人の主人公のいずれかを選んで進めていく。操作の内訳は通常移動・低速移動・ショット・消幕(弾消しボム)・結界発動で、敵弾にカスることで結界発動に必要なゲージが溜まる仕組みである。通常移動時だと右、低速時だと左のゲージが溜まり、結界を発動した暁には一度だけ被弾を無効化できるほか、発動中さらにカスると左右一方の円が満たされていく。円に応じて消幕の残数が増えるか残機が増えるかで効果が異なるため、右と左のどちらで結界を発動すべきか、補充したいリソースとタイミングを見極めて使い分ける能力が問われる。また、ゲージの残りを一気に消費して必殺技を放つことも可能で、多くの要素がこの結界という枠組みに集約されている。総じて興味深い仕上がりとなっている。後にフリーで頒布されるようになった。

本作の音楽を担当するのはMimaki SiON氏。当時、Project Noise(現・秋空シンセシス)の主宰を務めていたマルチクリエイターで、本作では作曲や効果音制作のみならず、企画・シナリオ・プログラムなども手がけている。雪化粧の和風ファンタジーというコンセプトを受けて、本作では儚さや物悲しさを感じさせるダークでメロディアスなサウンドが揃っている。ピアノを軸に、シンセ、ストリングス、ブラス、ときにはエレキギターなどを組み合わせている。全体的に悲劇的な色合いが強く漂っているものの、シューティングらしいアップテンポさや転調を駆使したメリハリの豊かさも備えている。サウンドトラックについては、イベント頒布や店舗での委託取り扱いを通じて一時期販売されていた。

4面で流れるのがこの曲である。最終面であり、いよいよ物語の真相に迫ることになる。曰く「じわじわと優しく首を絞めていくような雰囲気の曲」で、シンプルなピアノイントロから始まって粘り強く反復しながら悲壮感を蓄えていく。9秒頃からパーカッションが本格的に参入し、19秒頃からシンセが外側から囲い込むように響くようになるなかでも、冒頭から変わることなく同じピアノフレーズが繰り返される。28秒頃でようやくピアノが新たなフレーズを奏で始め、それに合わせてハープシコードの旋律が加わると、音色そのものは煌びやかな気品を纏っているが、その組み合わせによってもたらされる印象はぞくぞくさせられるような不穏な響きを帯びている。48秒から流れが変わり、華々しくも悲痛な弦の音色を取り入れて鮮やかに盛り上げる。1分7~9秒で音色を長く引き伸ばして締めると、わずかな間を挟んで打楽器で短く仕切り直し、再び頭から曲を演奏する。漠とした哀しみと、それでも歩みを進めねばならない使命感とがうまく表現された一曲である。

きゅうせん、死者の世界に響く、きこく、霊魂の泣き声……この禍々しく詩的な曲名が雰囲気によく合ってますね。ゲームが気になる方はぜひ。

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