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#1482 『The Place of Death』(上保徳彦/ファンタシースターII 還らざる時の終わりに/MD)

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セガがおくるRPGファンタシースターより、

上保徳彦作曲、2の『The Place of Death』。ラスボス含むボス戦で流れます。

ファンタシースターシリーズのナンバリング2作目であり、メガドライブ進出作にあたる本作。前作から1000年後、マザーブレインと呼ばれる巨大コンピュータの管理によって緑豊かな星へと発展したアルゴル太陽系第二惑星・モタビアに出現したバイオモンスターの謎を追うべく、モタビア州政府のエージェントである青年・ユーシスが旅立つことになる。前作同様にファンタジーSFの世界観のもとで惑星を股にかけた冒険を繰り広げるなかでも、本作ではより過酷で重苦しくも味のある物語が紡がれる点が特徴である。ハードをメガドライブに移したことでグラフィックが向上し、前作にあった3Dダンジョンはなくなったものの、二重スクロールを駆使して2Dでもダイナミックな表現を実現している。また、戦闘では敵味方がリアル寄りの頭身で充実したアニメーションをみせたりするするようになった。ダンジョン全般が非常に入り組んでいて、構造の把握と攻略に時間を要するほか、戦闘バランスやレベル上げなどを中心に苦戦を強いられる場面がすくなくない。王道とはすこし毛色の違うディープなRPGとしてシリーズの方向性を印象付けた仕上がりとなっている。後にPS2Wiiなどに移植されたほか、メガドライブミニ2に収録された。

本作の音楽を担当するのは上保徳彦氏。スタッフロールではBO名義でクレジットされている。当時セガに所属していた作曲家で、ファンタシースターシリーズには前作に引き続き携わっている。本作では全体的な作風が前作と比べて重めになったが、楽曲に関してはドラムを象徴的に用いたビビッドでパワフルなものが揃っている。特にスネアドラムの主張が激しく、SF色の強いパンチの効いた楽曲群を楽しむことができる。サウンドトラックについては、初期4部作を集めたファーストシリーズコンプリートアルバムのなかに本作の楽曲が収録されている。

ラスボス含むボス戦で流れるのがこの曲である。死に場所を意味する禍々しい曲名とは裏腹に、冒頭から力強くリズムを刻んで前向きな雰囲気を漂わせる。2秒からメインメロディーが始動するのにあわせてスネアドラムも顕著に聴こえるようになり、炸裂するような打音を絶え間なく鳴らして戦闘シーンを盛り上げてくれる。基本的には明るく軽快な曲調だが、主旋律に沿うようにじんわりと持続するシンセを敷くことで、音に広がりがあって尾を引くような重厚な余韻を生み出している。28秒頃から主旋律が新たなフレーズに突入する際にもドラムは変わらず目立ち続けるため、曲後半になっても威勢の良い印象が保たれる。40秒で一際さっぱりとしたメロディーを披露し、徐々に綺麗に収束していくと、1分手前で次のループに入る。対峙する相手が誰であれ、どんな事情があったとしても、前を見据えて戦い抜く潔さが感じられる一曲である。

この曲を紹介してほしいというリクエストをいただきました。PSO2に近未来感を強めたシンフォニックアレンジ『The Place Of Death - Esca Falz Mother battle -』(編曲は福山光晴さん)があったり、セガ公式でロックアレンジ(編曲は伊藤心太郎さん)があったりしますので、あわせてどうぞ。

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