VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1632 『Labyrinth』(末廣健一郎/Wo Long: Fallen Dynasty/PS4・PS5・XOne・XX|S・PC)

www.youtube.com

コーエーテクモがおくるダーク三國死にゲー・ウォーロンより、

末廣健一郎作曲、『Labyrinth』。第六節「脈打つ妖城」で流れます。

仁王で知られるTeam NINJAブランドによる三国志を題材とした死にゲーにあたる本作。後漢末期の中国を舞台に、人による戦乱と妖魔による荒廃が蔓延るなか、主人公は名もなき義勇兵として陰謀渦巻く乱世に身を投じることになる。キャラクリエイトあり、ステージクリア型、多彩な武器種、リソース管理を伴うアクションなど、大枠は仁王シリーズや同ジャンルの作品と共通している。本作の特徴は化頸(かけい)によるジャスト回避と受け流しの駆け引きで、タイミングさえ合えばどんな攻撃も無効化して相手の動きを崩せるため、慣れれば非常に有利に進められる。ステージは縦方向の広がりも含めて立体的な構造で、各所にある旗を立てれば復活地点を設けるだけでなく、士気ランクを上げることができる。士気ランクはそのステージ限定のレベル補正のようなもので、プレイヤーの能力や敵の強さに直結する要素として働く。また、五行相性や神獣を用いた必殺技などプレイスタイルに幅を持たせている。化頸がとにかく強力で死にゲーにしては初見で攻略しやすく、前のめりなスピード感重視の作風と言える仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは末廣健一郎氏。主にドラマやアニメの劇伴作曲の分野で活躍している作編曲家である。ゲームの音楽を担当するのは本作が初めてのようである。本作では三国志の世界観に合わせて雄大なオーケストラに中華楽器を組み合わせたサウンドが揃っていて、美しさのなかに昏さや不気味さ、戦闘の激しさを内包している。二胡や笛子、古筝に加え、馬頭琴や柳琴などの楽器も生演奏で収録しているようで、没入感のある音色を堪能することができる。サウンドトラックは2枚組で収録されている。

第六節「脈打つ妖城」で流れるのがこの曲である。このあとにもエンディングへと繋がる特殊なボス戦ステージがあるが、実際に大がかりな探索と戦闘を伴うのはここが最後であるため、事実上のラストステージと言える。メインテーマの『Wo Long』のアレンジであり、ゆったりとうねり、よじれ、のたうつように奏でられる弦の音色が非常に象徴的である。しばらくの間、禍々しくも格式高い演奏を披露し、30秒過ぎから管楽器も交えて執拗にオーケストラヒットを鳴らすようになる。40秒間にもわたってオーケストラヒットと二胡が代わる代わる主張し合った後、1分12秒あたりから銅鑼が大仰に打ち鳴らされて低音の弦が再び唸り出す。1分27秒にはオクターブを上げて綺麗な高音を紡ぎ、やがて1分38秒頃から寄せては返す波のようにストリングスが曰くありげに響く。最後に銅鑼であらためて仕切り直して収束する。まさに陰謀の渦のど真ん中に辿り着いた感覚が伝わってくる一曲である。

メインテーマがとても強い曲……強い以外の言い方があまり思いつかないくらいに強い曲なんですが、この曲はその強さを上手に調理した感じのするアレンジですね。『Wo Long』もあわせてどうぞ。

www.youtube.com