Hyd Lunch作曲、クロヒョウの『Exit Song』。エンディングで流れます。
極道の世界を描く龍が如くの派生作品のうち、本編と同じ時系列上の別のドラマを描く作品として登場した本作。神室町で喧嘩に明け暮れる少年・右京龍也は、無鉄砲な闇金騙し討ち計画で極道の幹部を殺してしまい、組に捕まって殺しを見逃す代わりに非合法の地下闘技場で戦わされることになる。シリーズおなじみの舞台や設定のもと、ストレートに暴力や非行を表現した物語とキャラ描写、タイマンを軸としたバトル、2Dアニメ調のムービーシーン、携帯機ながらも本編並みに充実したサブストーリーやプレイスポットなどが特徴である。基本的には地下闘技場で一対一のボスバトルに焦点を絞っていて、通常の喧嘩スタイルのみならずボクシング、空手、八極拳など全20種類の戦い方が用意されている。殴る・蹴る・掴むの主に3つの攻撃手段で各スタイルに即した臨機応変な立ち回りが可能で、性能差や手触りの良さが担保されている。全体的にバトル重視な硬派な作風のため、敵は相応に強く慣れを要するところがあるほか、携帯機の性能上、街の探索要素やおまけの遊びは数は豊富でも中身が簡素化されている点は否めない。総じて本編とはまた違ったヤンキー漫画的なハードボイルドさが味わえる仕上がりとなっている。
本作の音楽を担当するのはHyd Lunch、MASAO MASE(間瀬真生)氏、skankfunk(長沼英樹)氏、Wall5(谷丙午)氏、石井健太郎氏、井関由有子氏、内山肇氏、大凪樹氏、加藤浩義氏、木下浩二氏、庄司英徳氏、菅原幸枝氏、夏井詠悟氏、野村慶一郎氏、福山光晴氏。当時の情報でWall5氏と間瀬氏は音楽制作会社SPACEWALKER所属、加藤氏は音楽制作会社ノイジークローク所属、木下氏と野村氏は音楽制作会社SyncLive所属の作曲家である。Hyd Lunchは松崎泰之氏と渡辺博昭氏によるユニット、石井氏は主にアーティストへの楽曲提供を手がける作編曲家、内山氏はロックバンド・THE BLACK-50のギタリスト、夏井氏はソロギタリスト、大凪氏は着メロ制作などの分野で活躍するベーシストである。skankfunk氏と井関氏は元セガ所属、庄司氏と福山氏は現在もセガに所属する作曲家、菅原氏は本作の共同開発であるシンソフィアのサウンドデザイナーである。例によって大所帯でシリーズに馴染みのあるメンバーも初参加のメンバーも混ざっていて、エレキギターを軸に個性的だが統一感のある熱いロックナンバーを各種取り揃えている。特に戦闘曲はどれも芯が強く聴き応えがある。サウンドトラックには主題歌をはじめ未収録の楽曲もすくなくない。
エンディングで流れるのがこの曲である。激闘を経て様々な出会いと因縁を紡ぎ、心身ともに大きく成長した主人公の姿を印象付けるように、この曲は穏やかな曲調でありながら確かな盛り上がりを秘めている。くぐもったように響くローファイ風のピアノイントロで始まり、23秒からギターの情熱的な音色が加わってじりじりと昂揚感を強めていく。47秒からはしばらくアコースティックギターの柔らかな音色で労わるようなメロディーを奏で、1分9秒には一瞬だけハーモニカを鳴らして興を添えている。1分38秒でストリングスがにわかに勢いづき、直後にエレキギターが合流すると非常にカタルシスあふれる演奏を披露し、2分以降にはギターがメロディーを担うようになってさらに盛り上げる。2分半から変則的なギターパートを挟んで一旦大きく仕切り直し、またサビをなぞったのちに3分45秒以降には徐々にストリングスとピアノが綺麗に絡み合って収束し、有終の美を飾る。艱難辛苦を乗り越えて得た強い達成感と矜持を見事に表現した一曲である。
素晴らしいエンディング曲ですね。