VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1634 『STAGE 4』(松下寿志・森島大祐/コリューン/PCE)

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ナグザットがおくるシューティング・コリューンより、

松下寿志・森島大祐作曲、『STAGE 4』(仮称)。4面で流れます。

精霊戦士スプリガンなどで知られるナグザットによる自社開発作品として登場した本作。七色に輝く美しい惑星群・レインボールに宇宙の大魔王、ア・ダールが侵略し、すべての生き物を子どもに変える呪いで大混乱に陥るなか、王女のペットであるドラゴンの子・コリューンが脅威に立ち向かうことになる。全8面の横スクロールシューティングで、コミカルでメルヘンチックな作風が特徴である。初期状態では自機は前方に火を吹くが、道中のコウノトリが落とすパワーアップボールを取得すると色に応じて火・水・雷の3種のショットを使い分けられるようになる。サブウェポンは4種類、全弾消去から自機の小型化(=当たり判定の縮小)まで変わり種のアクションが用意されている。ニワトリを撃つと仲間になってくれて自機のオプションとして活躍し、一緒に敵を倒してスコアアイテムをざくざく稼ぐ醍醐味を味わえる。ナグザットシューおなじみのスコアアタックモードもあり、2分間と5分間でハイスコアに挑戦できる。基本的に見た目通りゲームバランスは甘めで、厳密さが薄い分カジュアルに楽しめる仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは松下寿志氏と森島大祐氏。いずれも当時ナグザットに所属していた作曲家である。本作以前にも同じくシューティングでダブルリングにて共同で作曲した経験がある。本作では作風に見合ったファンシーさを感じさせつつも、意外としっかり重めに響くパーカッションが印象的で、ハンドクラップやバスドラムの刻み方がよく耳に残る。作中にはサウンドテストが存在し、番号のみで曲名は表示されないが自由に再生することができる。サウンドトラックは未発売のため、曲名は便宜上の仮称とする。

STAGE 4「YELLOW PARK」で流れるのがこの曲である。ヤシの木みたいななにかが生えた砂漠で、背景は真っ暗でピラミッドが並んでいる。中ボス戦を挟んだ後は古代遺跡のような場所を通ることになる。そうしたなか、切なくも渋く鮮やかなメロディーを惜しみなく奏でることで、絶妙にユニークでエスニックな雰囲気を漂わせる。7秒で高音へ駆け上がっていったり、9~10秒で音色を小刻みに揺らし終えた後に折よくハンドクラップを鳴らしたりして、聴いていて気分が良くなるようなスウィング感をもたらす。20~23秒や44~47秒などフレーズ終わりで派手に刻むくだりはますます気持ち良く、ほとんど反復しているように見せかけて1分6秒から微妙に刻み方を変えることで粋な趣を添えている。気味の良い曲調のなかに侮れない胡乱さがある一曲である。

いい意味ですごく胡散臭い曲ですね。とても好きです。